樺太に住んでいた時代の戸籍が取得できず、相続手続きに必要な戸籍が完全には揃わない状態ですが、相続手続きすることは可能ですか?
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樺太時代の戸籍の期間にもよりますが、相続手続きをすることは可能であることが多いです。
たまき行政書士事務所では、樺太の戸籍が出てくる相続手続きを年に数件は行っておりますが、いずれも相続手続きができております。
それでは、樺太の戸籍が出てくる相続手続きについて相続の専門家が解説します。
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樺太の戸籍とは
戸籍で出てくる樺太とは、樺太島の北緯50度以南の部分の南樺太のことをいい、かつて日本が樺太庁を置いていた部分です。樺太は、良質な石炭、製紙工場もあり、1940年前後には、40万人もの日本人が居住していたといわれております。
正式に日本国の行政庁が置かれていたため、居住地と合わせるように本籍地を樺太に移している日本人が多く、1905年頃から戦後の1949年までの期間に樺太にある各村に戸籍がおかれていることがよくありました。
たまき行政書士事務所は、北海道の相続を専門としており、比較的難しい部類の相続事案の依頼をお受けしておりますので、相続関係戸籍を収集する際には、樺太の戸籍が出てくることがよくあります。
樺太の戸籍の現物はほぼない
外務省のホームページによると、樺太の戸籍は、樺太6村の戸籍の一部を除き、戦後敗戦の混乱の中、廃棄や消滅をしてしまいました。
当事務所で戸籍の収集中に、樺太の戸籍が出てくる場合、戸籍が存在するかもしれない樺太6村に該当する村が出てきたことは、今のところ一件もありません。
そのため、樺太に戸籍があったことがその後に続く戸籍の記載でわかった場合には、樺太の戸籍の現物はほぼないと考えた方が良いでしょう。
樺太の戸籍が取得できない場合の対応
樺太の戸籍が取得できない場合、一番困るのが法定相続人を確定するために必要な戸籍の一部が繋がらなくなるということです。
戸籍が繋がらないとは、例えば、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める必要があるときに、例えば、出生から5歳までの戸籍がなくて、出生まで辿りつかないということです。
相続の際、死亡した方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍を調べる理由としては、被相続人に子供や養子がいないかを確認するためです。
そのため、戸籍が出生から死亡まで揃わない場合、子供がいるのか、養子がいるのかわからない期間が生じるため、法定相続人の人数の確定ができないこととなります。
ただし、無いものは無いので仕方がありません。樺太に戸籍があったということが戸籍収集の最中にわかり、その樺太の戸籍が存在しない場合には、外務省発行の戸籍がない旨のご案内文をもらうことになります。
樺太の戸籍が外務省に保管していないものの場合、ご案内文が発行されます(ご案内文の詳細はこちらをご覧ください)。
これを取得しておけば、樺太の戸籍は発行不可能なので、相続手続きに必要な戸籍の一部が物理的に揃わないということが、相続手続きの相手方となる金融機関や法務局にも伝わります。
証明書の取得方法は、外務省のホームページに詳しく書いておりますのでご参考にしてみてください。
樺太の戸籍の期間の長さが問題となる
樺太の戸籍の期間が例えば、被相続人の出生から3歳まであれば、樺太の戸籍がないことにより出生から死亡まで繋がらなくとも、問題になることはほとんどありません。
なぜなら、0歳から3歳までの間に子供を産むこと、自分の養子を持つなどということは不可能だからです。
問題となるのは、樺太の戸籍の期間が長い場合です。例えば、出生から22歳までの期間が樺太の戸籍となっているような場合です。
この場合、早ければ15歳くらいから子供を産むことが出来ますし、養子縁組をしている可能性も出てきます。
そのため、樺太の戸籍の期間が長ければ長いほど法定相続人を確定させることが難しくなります。
相続手続きの実務で樺太の戸籍が問題となるのはいわゆる“兄弟姉妹相続”事案
樺太庁は終戦の数年後の1949年には完全に廃止されましたので、1945年以降は、樺太に残された人の他は、北海道本土などに移住し、そこで新たな戸籍を作るなどして対応していました。
この記事を書いている2022年現在では、終戦の1945年から77年が経過しています。
そうすると例えば、87歳の方が亡くなると、樺太の戸籍に入っている可能性のある期間は、10年程度です。そのため、被相続人の樺太の戸籍が出生までそろわない期間は最大で出生から10歳程度となります。
10歳程度であると、一般的に生殖能力はありませんので、自身の子供はいないことが社会通念上わかります。若年者ですので、養親になることもできません。
したがって、被相続人に子供がいる場合の相続事案や、被相続人の両親の一人が生きている相続事案では、樺太に戸籍があったことがわかってもあまり問題にはなりません。
問題となるのは、被相続人に子供がおらず両親は死亡しているような相続事案、いわゆる“兄弟姉妹相続”のときです。
兄弟姉妹相続事案のときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍の他に、被相続人の父と母の出生から死亡までの戸籍が、法定相続人を確定するために必要となります。金融機関で相続手続きをするときには、父と母の出生から死亡までの戸籍の提出を求められます。
これが揃わないと、被相続人の法定相続人にあたる兄弟や姉妹、あるいは甥や姪の特定ができないからです。
例えば、被相続人の年齢が87歳であれば、父の出生までの年齢を辿るには、いまから107年~127年位前までの戸籍まで遡る必要があります。
このとき、樺太の戸籍の期間があると、例えば、父の出生から22歳までの戸籍が揃わないなどということがよくあるため法定相続人が確定できないということとなります。
参考記事
樺太の戸籍の期間が長い場合の対応方法
樺太の戸籍の期間が長く戸籍を用いて法定相続人の確定ができないことはありえます。その場合には、無いものは無いのでどうしようもないため、樺太の戸籍以外の戸籍は完璧に揃えたうえで、金融機関などには、戸籍の束と、法定相続人全員の印鑑登録証明書と、相続手続き書類への署名押印に加え、誓約書を一緒に提出することで対応するとよいでしょう。
金融機関は、後でトラブルに巻き込まれないように、必要書類の確認を常に慎重に行います。そのため、代表相続人、あるいは、相続手続きを担当した行政書士などの専門家は、相続手続きの際に一緒に誓約書を作成して提出すると、スムーズに進むでしょう。
誓約書のフォーマットは特にありませんが、以下に参考となる文面を書いてみましたので、ご参考にしてみてください。独身の方が死亡し、両親も先に死亡しているいわゆる兄弟姉妹相続事案を想定して作りました。
生前であれば公正証書遺言で対応するのがベスト
相続手続きの際に、樺太の戸籍が出てくると相続手続きに必要な戸籍の一部が繋がらず、法定相続人の確定を戸籍を用いて証明できないことを説明しました。
もし、この樺太戸籍の存在が予めわかっているならば、生前に公正証書遺言を作成して、戸籍が繋がらなくても相続手続きを確実にできるようにしておくことが大切です。
公正証書遺言を作成しておけば、戸籍が繋がらない期間があったとしても問題なく相続手続きが可能となります。
詳しくお知りになりたい方は、以前相続のコラムを書いておりますのでよろしければご参照ください。
樺太の戸籍等でお困りの際はお気軽にご相談ください
今回は、樺太の戸籍を中心に解説しましたが、相続では、どんなに調べても理解できない部分が出ることがあります。その理由としては、相続は、戸籍収集という手続き上の難しさの他に、民法、税法などの法律が複雑に絡み合い相続人の構成も千差万別のため、全く同じ状況になることはあり得ないからです。
相続の相談は、最終的には、相続の実務に直接携わっている専門家に個別具体的に相談することが最善の方法だと思います。
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