【遺言を作成した方が良い方】
第6話 樺太や外国で生まれた方、外国人と結婚した方
相続・遺言コラム
出生から死亡までの戸籍に欠けがあると大変!?
戸籍が欠ける原因4つ
相続手続きをするためには、原則として、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍が必要です。ところが、何らかの理由により戸籍が繋がっていないことが稀にあります。
例えば、
- ① 戦時中、父が樺太に居住していて、樺太に戸籍があった方(今は樺太の戸籍はほとんど取得できない。外務省HP参照)
- ② 外国で生まれてその後帰化しているので、現在の戸籍は日本にあるが、小さい頃の戸籍が日本にない方
- ③ 韓国籍の方と結婚してその後離婚したので、途中、日本の戸籍から離れている方
- ④ 戸籍の保存期間が切れて、出生から数年間の戸籍が廃棄されてしまっている方
この4つが戸籍が欠ける原因で比較的多いものです。
参考記事
どうして出生から死亡まで繋がっていなければならないのか
相続手続きにおいて出生から死亡までの戸籍を隙間なく集めることを要求される理由は、ズバリその方に“子供がいないか”、いるとしたら“何人いるか”を確認するためです。子供は、第1順位の相続人になりますので、子供の存在は相続では非常に重要になります。
出生から死亡までの戸籍で、特に、生殖能力のある期間(14歳くらいから50歳くらいまで)の戸籍が欠けていると、戸籍が欠けている期間中に子供を産んだ可能性があるとされますので、銀行等金融機関が預金解約に応じてくれない可能性があります。
また、高齢などで一般的に子供を産む可能性が無い期間でも、認知や養子縁組で子供をもうける可能性がありますので、一般的に生殖能力がないとされる期間でも、やはり戸籍はできるだけ欠けることなく繋がっている必要があります。
遺言を作成することなく死亡してしまった場合
当事務所は相続専門の事務所ですので、比較的難しい相続の相談をされることもよくあります。そのうちの一つが、被相続人の方の戸籍が繋がっていない場合の相続手続きの相談です。
金融機関の対応はケースバイケースですが、戸籍が繋がっていなくても、最終的には解約に応じてくれる可能性があります。
しかし、原則として「戸籍が揃っていないと相続人の確定ができない」という理由で断られることも予想されます。
そのため、ひと工夫が必要です。
解決方法1
戸籍を可能な限り収集したあとに、「相続人は私たち3人であることに間違いありません。貴行には、一切ご迷惑をおかけしませんので解約いただきますようお願い申し上げます。」といった文面の誓約書を添付することで解決できることがあります。
解決方法2
戸籍が保存期間満了で破棄されていた場合には、戸籍の本籍地発行の“廃棄証明書”を提出し、戸籍が提出できないのにはやむを得ない理由があることを証明することで解決できることもあります。
解決方法3
樺太の戸籍を取得できない場合には、外務省に「樺太の戸籍は現在ない」という案内文を発行してもらい、それを提出することで、戸籍が欠けていても問題なく手続きできることがあります。
解決方法4
法定相続情報一覧図を作成することで、欠けている部分の戸籍を提出しないで済むことがあります。法定相続情報一覧図というのは、お客様や行政書士などの専門家が作図したものに法務局が認証印を押す仕組みなのですが、法務局では、必ずしも完全な戸籍のつながりを求めるわけではありません。個々の事例によりますが、銀行等金融機関より緩い基準で認証してくれることがあります。
今のところ、以上の解決方法を単独で、あるいは組み合わせて使うことによって、戸籍が欠けていてもなんとかすべて解決しております。
ただし、相手方(銀行などの金融機関)の判断によるので、必ずしも応じてくれるとは限りません。
公正証書遺言で確実に相続手続できるようにするのがベスト
被相続人の出生から死亡までの戸籍が欠けている場合、公正証書遺言を作成するのがベストです。
当事務所など相続専門事務所に依頼すれば、戸籍が欠けている場合でもなんとか解決できることは多いですが、一般の方が銀行などの金融機関の窓口の方とやり取りする中で、柔軟に対応するのは難しい場合も多いと思います。
公正証書遺言を作成していれば、そもそも出生から死亡までの戸籍が完全に揃っていなくても、死亡の記載のある戸籍さえあれば、銀行の相続手続きが可能です。
死亡の記載の戸籍は、日本で生きていればほぼ間違いなく取得できますので、できれば、元気なうちに公正証書遺言を作成して、推定相続人や将来の受遺者(相続人ではないが遺言によって財産を渡したい方)を安心させるのがベストです。
結論
樺太や外国で生まれた方や、外国人と結婚していた方などは、戸籍が一部欠けている場合がありますので、公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。
公正証書遺言の作成方法などをご相談したい場合には、北海道の方であれば、たまき行政書士事務所に一度ご相談ください。
参考記事
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