先月死亡した夫と二人で暮らしていた自宅を妻の私が相続する予定ですが、相続時・売却時に税金がかかりますか?
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一戸建てやマンションなどの自宅を相続するときには、登録免許税(固定資産税評価額の約0.4%)がかかります。不動産と預貯金等金融資産等を合わせた合計が相続税の基礎控除額を超える場合には原則として相続税がかかります。
相続したあと、売却する際には、原則として不動産譲渡所得税がかかります。
不動産譲渡所得税は、翌年2月~3月15日(確定申告期間)に確定申告をする必要があります。
不動産を売却して売却益が出た場合、所得が増額するので、翌年の1年分の住民税や健康保険料も上がります。
ただし、相続した不動産については、売却の際、税についての特例が適用される可能性があるので、特例を適用することにより結果として税金がかからないことがあります。
それでは、不動産の相続に関わる税金について相続の専門家が解説します。
たまき行政書士事務所では、相続前、相続後いずれのサポートも行うことができます。
預貯金の相続はもちろん、不動産の相続についても、たまき行政書士事務所にお気軽にご相談いただけましたらと思います。
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相続発生時にかかる税金
登録免許税
相続発生時にかかる税金は、登録免許税という国税です。登録免許税とは、相続登記をする際に、法務局に登記申請をするときに一緒に印紙を購入し貼り付けて納める税金です。
売買や贈与の時には固定資産税評価額の約2%かかるのですが、相続の場合は、固定資産税評価額の約0.4%がかかります。
相続の際の登録免許税は、売買や贈与等の所有権移転登記の際の約5分の1となっております。
相続の際には、不動産取得税という売買や贈与の際に不動産を取得する側の方にかかる税金もかかりません。
相続は、所有権の移転であることに違いはないのですが、被相続人(亡くなった方)の地位をそのまま引き継ぐという性質があるため、不動産取得税はかからないと覚えればよいでしょう。
ちなみに固定資産税納税通知書は、相続登記が完了した翌年4月末~5月初旬に不動産の所在する自治体から、今回のQAの事例でいえば新所有者となる妻の名義で届きます。
相続登記をいつまでも完了させないと亡き夫名義のまま、あるいは、亡き夫の名前と並列して納税義務者という地位で妻に届きます。
相続税
相続税の基礎控除額を超える財産を被相続人が所有していた場合、財産を取得した相続人に原則として相続税が発生します。
ただし、相続税については、かなり長い説明となってしまうため説明を省略いたします。
参考記事
不動産を相続した後売却の際にかかる税金
夫の不動産を妻が相続した後は、妻が所有権者となります。
そのため、所有者となった妻が他者に売却した場合、もう相続の問題の範囲外の話になるので、原則として不動産譲渡税(正確には、不動産譲渡所得税)がかかります。
不動産譲渡所得税の額の計算式は、大まかにかみ砕いて説明すると
課税対象となる所得金額(売却額 - 取得額 + 譲渡費用)×15%(5年以上の長期間保有の場合)
となります。譲渡費用とは、仲介手数料や印紙代など譲渡するのに直接かかる費用のことをいいます。
例えば、夫が3000万円で取得した札幌市中央区内のマンションを、15年後に夫が死亡し、妻が相続して3500万円で売却ができた場合、売却額3500万円―取得額3000万円=500万円となり、この500万円に対して15%の不動産譲渡所得税がかかります。
つまり500万円×15%=75万円が不動産譲渡所得税額となります。
※ 実際には、建物について減価償却がされ、不動産業者に支払う仲介手数料など譲渡費用も引かれますので、もう少し少ない額が不動産譲渡所得税としてかかります。実際に申告する場合には、より細かい計算式で取得額や不動産譲渡所得税を税理士の方などが算出していきます。
国税庁のホームページで公開している正確な不動産譲渡税についての説明を引用すると以下のようになります。
譲渡所得の金額は、次のように計算します。
収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
(1) 収入金額
譲渡所得の収入金額は、通常、土地や建物の譲渡の対価として買主から受け取る金銭の額です。
なお、譲渡代金のほかに、譲渡から年末までの期間に対応する固定資産税および都市計画税(未経過固定資産税等)に相当する額の支払を受けた場合には、その額は譲渡価額に算入されます。
また、金銭の代わりに物や権利などを受け取った場合も、その物や権利などの時価が収入金額になります。
おって、資産を譲り渡すことによって、その他経済的な利益を受けた場合は、その経済的な利益も収入金額に含まれます。
(2) 特別控除額
土地や建物を譲渡した場合の特別控除額は次のようになっています(特別控除は一定の要件を満たす場合に適用されます)。
(ロ) マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合 ・・・ 3,000万円
国税庁
被相続人の不動産を相続したあと売却した場合に適用される可能性のある特例2つ
今回の事例のように、死亡した夫所有の自宅を、同居していた妻が相続した後売却するときに適用される特例は主に、
の2つが考えられます。
今回のQAの事案(夫婦同居)で、特例の適用があるとすれば、居住用財産の売却の特例となります。
居住用財産の売却の特例
夫の名義の自宅を妻が相続し、居住した状態で売却をする場合、居住用財産の売却の特例が適用される可能性があります。
マイホーム売却の特例と一般にいわれることも多いです。
今回のように、夫と二人で暮らしていた自宅を夫の死後、妻が相続して売却するという場合、マイホーム売却の特例が適用される可能性があります。
北海道の相続では、不動産の売却価格が東京都のように何千万円と高額になることが少ないため、収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用)の金額がこの特例の特別控除額(3000万円)の範囲内であることがほとんどであります。
そのため、結果的に、不動産譲渡所得税が0になることが考えられます。
被相続人の居住用財産売却の特例
もう1つ、相続した不動産を売却する時に使える特例は、被相続人の居住用財産を相続した方(今回でいうと夫の自宅を相続した妻)が、被相続人と別居していた場合などで、被相続人の死亡後、相続した居住用財産が空き家となった場合、被相続人の居住用財産売却の特例が適用される可能性があります。
一般的に、空き家売却の特例と呼ばれることがあります。この被相続人の居住用財産売却の特例についても、特別控除額上限が3000万円ですので、例えば、北海道内の不動産を売却したときについては、不動産譲渡税が0になる可能性があります。
ただし、被相続人の居住用財産を売却した場合の特例は、適用の要件が厳しいため、特例の適用のハードルは高いと考えられます。
特例が使えない場合の不動産譲渡税の申告の対応について
特例が使えない場合、長期保有の譲渡だと、大まかにかみ砕いて計算式を出すと、3500万円で売却、3000万円で取得(購入時)の場合、500万円の差額益に対して15%なので、特例適用のないケースでは、75万円もの不動産譲渡所得税を支払う必要があります。
取得額がわからない場合
土地売買契約書や建築請負契約書などを一切保管していなくて取得額がわからない場合、売却額の5%を取得額としてよいルールがあります。例えば、1000万円で売却した場合、取得額は、1000万円×5%=50万円となります。
このとき、仲介手数料が30万円だったとすると、1000万円-(50万円+30万円)=920万円の差額益となるので、920万×15%=138万円が不動産譲渡所得税の額(5年以上の長期保有の場合)となります。
概算取得費を割り出して行うことも
取得費がわからない場合、売却額の5%の取得費とするルールがありますが、先ほどの1000万円で売却できた事例のように、138万円もの不動産譲渡所得税という税金がかかります。
売却額の5%という、法律上認められた制度で取得費を算出すると、不動産譲渡所得税をかなり納める必要があるケースも出てきます。
そのような時、概算取得費の算出という方法をとると、不動産譲渡所得税を抑えられることがあります。
概算取得費の算出は、土地売買契約書や建築請負契約書などを一切保管していなくても行うことができます。
この概算取得費の算出をする権限のある士業は、不動産鑑定士となります。
不動産鑑定士の先生に支払う報酬と不動産譲渡所得税の額を比較検討し、概算取得費を割り出してもらった方が良い場合には、確定申告を担当する税理士の先生と相談の上、不動産鑑定士の先生に概算取得費の算出の依頼をしてみるのも良いかもしれません。
まとめ
今回は、相続前後に発生する税金の概要について説明しましたが、たまき行政書士事務所は、行政書士事務所ですので、実際の確定申告、特例の適用の可否の相談については、提携する税理士にスムーズに引き継いでおります。
相続の全般的な相談の中で、税の知識については説明する必要があります。
また、相続後の自宅の売却については、不動産業者さんを紹介しておりますので、たまき行政書士事務所では、相続前、相続後いずれのサポートも行うことができます。
預貯金の相続はもちろん、不動産の相続についても、たまき行政書士事務所にお気軽にご相談いただけましたらと思います。
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