空き家を相続するときに注意すべきポイントはなんですか?
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ポイントを3点挙げてみました。
ということが、相続を多く扱う行政書士の立場からいえることです。
たまき行政書士事務所では、空き家問題を含む、相続全般の相談を数多くお受けしております。まずは、お気軽にお電話、メールもしくはラインにてお問い合わせください。
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ポイント1 長期間誰も住む予定がないのであれば、できるだけ早く売却する。
相続する空き家に長期間誰も住む予定がないのであれば、できるだけ早く売却することをお勧めします。
早く売却すべき理由としては、長期間の経過で
- ⅰ. 不動産の価値が下がる
- ⅱ. 隣人にご迷惑がかかる可能性が高い
ということが大きな要因として挙げられます。
ⅰ. 不動産の価値が下がることについて
もっと具体的に挙げると、
- 空き家になると、換気状態が著しく悪くなり、カビが生え、建物が急激に傷む。
- 空き家であることがわかると、人や動物が住み着く恐れがあり、一度住み着いてしまうと、その状態を取り除くことは非常に難しくなる。
- 窓ガラスなどが割れると、雨風が入り、急激に建物が傷む。
ということが挙げられます。
数年後いざ売却しようとすると、建物がリフォームもできない状態となり、解体を前提での解体費を差し引いた価格となるので、不動産会社で査定すると売値がかなり安く設定される可能性が高くなります。
もっとも、空き家の場所が相続人様の自宅の近くにあり、実家であったので、思い出として残したい、定期的に換気や掃除などをして、維持管理しているという場合は問題がないので必ずしも売却する必要はないでしょう。
ⅱ. 隣人にご迷惑がかかる可能性が高いことについて
空き家にすることによって、近隣住民に精神的損害、物理的損害、金銭的損害を与えてしまうことがあります。
もっと具体的に挙げると、
- 夏にはスギナなどの雑草が大量に生え、植木が伸び切り、隣家にご迷惑をかけることがある。
- 空き家の庭に家庭ごみや産業廃棄物を捨てられることがある。
- 北海道では雪が積もると、安全性の確保のため、やむを得ず隣人が除雪業者を頼み排雪することもある。
- 猫が住みついて悪臭を放ち、隣人が精神的被害を受ける。
などという損害を生じさせる恐れがあります。
空き家によって生じた損害について
たとえ、空き家であっても、相続が発生すると、相続登記が完了していても、していなくても、所有者には、空き家についての土地の工作物責任という責任が生じます。
相続登記をした場合には、名義人となった相続人に責任が移転しますが、相続登記完了までは、共有財産として相続人全員に土地の工作物責任が生じます。
土地の工作物責任とは、民法717条1項等の法律で規定されているもので、空き家の欠陥などによって何らかの損害を他者に生じさせた場合には、建物占有者や所有者が損害賠償責任を負うというものです。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
ポイント2 相続登記を完了させる。
相続登記(相続を原因とする所有権移転の登記)をしないことが社会問題化しております。そのため、法務局でも“未来につなぐ相続登記”というタイトルでPRで行い、国全体で相続登記を推し進めるように取り組んでおります。
相続の実務家からみた相続登記をしないことによる問題点
相続が発生すると、ご存命の方の誰が権利者であるかを対外的に証明するために、通常は相続登記をします。
しかし、相続登記には、お金がかかる(専門家に支払う報酬、戸籍や登記簿などを取得するための実費、登録免許税)ため、現状では、相続登記をしないで放置するという方も多くいます。
例えば、亡くなった夫が所有していた家に、現在、妻一人が住んでいるときなどについては、妻が固定資産税を払い続けていれば、住み続けることはできます。しかし、その妻の方も亡くなって、空き家になった後も、亡くなった夫の名義のままという状態も多いです。
このような状態がいわゆる“空き家問題”に繋がります。
相続登記を放置すると、権利関係が複雑になって、いざ相続登記をしようと思ったときに手が付けられなくなります。相続人様は、遅くとも1年以内には相続登記に向けた行動をとると良いでしょう。
相続登記を完了させないと、不動産業者さんの仲介による売却はできないことはもちろん、銀行等でリフォームローンの借り入れもできません。抵当権の設定など、担保設定ができないからです。
ただし、実際には、5年以上相続登記をしていない方は多くいます。そのような方は、一度専門家に相談して相続登記に向けた行動をとると良いでしょう。
参考記事
ポイント3 空き家とその下の土地を登記する際に、共有(共同相続)にはしない。
相続の実務家の世界では、空き家の相続以外でも、基本的に共有にはしない方がいい、単独所有とするべきという考え方が主流です。
相続が発生して共有(多いのが、法定相続割合に従って共同相続登記をする)とすると、その場では解決したつもりとなりますが、紛争の先延ばしにすぎず、後で、子供や孫の代でトラブルが発生します。
うっかり共有名義(共同相続登記)にしてしまう理由としては、ずばり登記が簡単だからです。法定相続割合に従った共同相続登記は、遺産分割協議書の添付が必要なく、相続人一人の行動で登記までできてしまうからです。
共有状態では売るのが難しい
空き家を共有登記すると、売るときに苦労します。所有者が少なくとも2人以上いるので、売却するときに共有者同士の協力が必要となります。
共有者同士の仲があまりよくないと結局売れずにそのままということになります。
共有者の一人が死亡するとさらに権利関係が複雑になります
繰り返しになりますが、共有者同士の仲が悪いと連携がとれないので、結局売却までたどり着かずそのままの状態となります。
そして、共有者の一人が死亡するとさらに数次相続という相続が発生し、相続関係が複雑になりますが、当時の相続人同士で解決できなかった問題を、その子供や孫の世代が解決しなければならない理不尽な状態となります。
専門家に相談すると、“解決がむずかしいのでそのままにした方がよいかも”などといわれ、結局空き家は、朽ちていくのを待つ状態となります。空き家問題の発生です。
結論としては、相続登記をする際は、問題を先延ばしとしないために、共有とせず、単独所有とするための努力をした方がよいといえます。
代償分割などを利用して解決を図るという選択肢も
問題の対象となっている不動産の相続だけでなく、預貯金や他の相続財産全体を見て、解決を図るという方法があります。
代償分割や現物分割、換価分割などを組み合わせて行うと、空き家問題に発展しないことが期待できます。当事者同士だと、解決方法を探すのが難しい場合がありますので、そのときは、相続を多く経験している専門家に一度相談する方がよいでしょう。
たまき行政書士事務所でも、空き家問題を含む、相続全般の相談を数多くお受けしております。まずは、お気軽にお電話、メールもしくはラインにてお問い合わせください。
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