遺産は、法定相続割合(法定相続分)通りに分ける必要があるのですか?
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いいえ。相続人の皆さまの合意があれば、法定相続割合通りに分ける必要はありません。
争いがない案件については、法定相続割合を考慮する必要はありません。
争いがない通常の遺産分割協議においては、あくまで一つの指針(参考)と考えればよいでしょう。
それでは、遺産は法定相続割合(法定相続分)通りに分ける必要があるのか、相続の専門家が解説します。
たまき行政書士事務所では、相続手続きが円満に解決できるように多くの事例を挙げ、相続人様同士で遺産分割協議を行えるようにアドバイスすることができます。
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法定相続割合(法定相続分)通りに分けなくてもいい
法定相続割合(民法900条1号~4号)の法律上の仕組みについては、後ほど詳しく解説します。
すでに相続人様の間で争いのある案件以外については、故人の相続財産を、法定相続割合(正式には、“法定相続分”といいます。)通りに分ける必要はありません。
法定相続割合とは、例えば、夫が死亡すると、妻が2分の1、子が2分の1というものです。
もっとも、すでに相続人様同士で争いがある相続案件(紛争案件とも呼びます)については、解決するための基準を設ける必要があるため、法定相続割合という規定が適用されます。
法定相続割合通りに分けなくても良い理由
ご家庭によって状況(家族構成、財産構成など)は様々です。ご家庭の財産状況についても、家庭ごとに事情が異なります。
だれが故人名義の不動産を取得するか、だれが預貯金を多く取得することが適切かは、相続人様同士にしかわからない事情なので、民法という法律の規定では、遺産分割の際に法定相続割合通りに分けることを強制していません。
“法は家庭に入らず”という昔から伝わる法学者の格言がありますが、その通りで、家庭内の財産については家庭内で自由に分配できます。
実際には法定相続割合通りで分けるケースは少ないです
遺産は現金や預貯金だけでなく、住んでから20年以上経過している自宅や、数年利用している自動車・除雪機、薄型液晶テレビ、家具、家電、有料老人ホームの保証金などいろいろな種類の財産があります。
そのため、遺産の中には、財産的価値を正確に算定しにくいものも多々あります。
また、社会通念上、長年一緒に寄り添っていた妻の割合を多くした方が良い場合もあるでしょう。
そのため、争いのない一般のご家庭では、家族の話し合いで妻に全部相続させ、長男、長女は遺産を一切相続しないというケースもよくあります。
また、例えば、遺産の8割を妻が相続して、長男長女は1割ずつもらうということもできます。
さらに、例えば妻が85歳くらいで、家を継ぐ長男に全部相続させて、これからの面倒を見てもらいたいと考えている場合に、長女もそれに同意すれば、長男が遺産を全部相続するということも可能です。
ただし、自由な割合で分ける場合には、相続人全員の合意が必要なので、一人でも話し合いに納得できない、判を押さないという方がいると、合意による遺産分割はできないこととなります。
家族の話し合いで解決できず、調停や裁判となると家族に遺恨を残すことがほとんどですので、できるだけ円満に話し合いで解決して、遺産分割をすることが大切だとたまき行政書士事務所では考えています。
遺産のすべてを一人が相続した実際のケース
ケース1
夫が死亡した、札幌市で同居の妻と東京在住の長男という家族で、法定相続割合は、妻2分の1、長男2分の1となりますが、妻がすべて相続する(100%相続する)ということがありました。
ケース2
夫が死亡した、札幌市の施設に入居中の妻と、同じく札幌市に住んでいる長女という家族構成で、長女が妻(長女から見ると母)の世話をするので、長女が遺産のすべてを相続するということがありました。妻(長女から見ると母)は、娘を全面的に頼っており、長女が相続することを希望していました。
ケース3
生涯独身の男性が死亡して、その姉3人が相続人となる、いわゆる“兄弟姉妹相続”の事例でした(兄弟姉妹相続について、詳しくお知りになりたい方は「兄弟姉妹相続でお困りの方へ」をご参照ください)。
故人の姉3人の中で、弟の面倒を見てきたのが一番上の姉だったので、姉三人の中で協議が成立し、一番上の姉がすべて相続するということがありました。
ケース4
母が死亡し、長男、長女の2人が相続人となるケースでした。
長男は母の加入していた生命保険の受取人となり十分な現金を手にしていたので、長男、長女で話し合った結果、預貯金のすべてを長女が相続するということがありました。
法定相続割合の法律上の仕組みについて
法定相続割合(民法の正式な名称では、“法定相続分”と呼びます)とは、民法という法律の900条の各号に記載がある、法律で定めた遺産の分割割合のことです。
この民法900条という法律の条文には、簡単に説明すると、相続人様同士で話し合いがまとまらなかった場合などに用いることがある、裁判の基準となる割合が示されています。
一般のご家庭の遺産分割協議で、実際に法定分割割合できっちりと分けることは稀(まれ)で、分ける際の参考となる基準と考えて構わないと思います。
具体例を挙げると、夫、妻、長男、長女のご家族において、夫が死亡し、相続が発生した場合、法定相続割合(法定相続分)通りに100万円の現金を分けたとすると、妻50万円、長男25万円、長女25万円となります(民法900条1号、調停や裁判で争った際には、過去に贈与があったかなど、もっといろいろな要素が加味されます)。
相続で不安な方は一度たまき行政書士事務所にご相談ください
たまき行政書士事務所では、相続手続きが円満に解決できるように多くの事例を挙げ、相続人様同士で遺産分割協議を行えるようにアドバイスすることができます。
行政書士は、法律上、相続人のいずれかの代理人になることはできず、あくまで中立的立場で書面を作成するように、職務上決められています(明らかに争いがある相続の案件は、法律上、弁護士さんしか受任できないこととなっております)。
しかし、揉めそうかもという漠然とした不安をもっているご家庭も多いですので、そのときは、一度たまき行政書士事務所にご相談ください。
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