日本テレビ系列ドラマ‘‘相続探偵’’第2話を相続実務家の観点から解説します。自筆証書遺言の偽造、殺人罪などによる、相続欠格について

相続・遺言コラム

相続探偵とは

行政書士 田巻 裕康

日本テレビ系列によるテレビドラマで、令和7年1月から放送されております。クセが強いが頭が切れる元弁護士が相続専門の探偵として、相続にまつわる様々な事件を解決するというお話(相続ミステリー)です。

今回は、近年の事件でいうと紀州のドンファン事件を連想させる内容のものでした。

相続探偵2話

相続探偵第2話は、あることがきっかけでいわゆる‘‘後妻業’’をすることになった女性が資産家と結婚し、結婚後すぐに夫となった資産家が原因不明(日本にある青酸カリなどの死に至る可能性のある薬物反応はなし)の心筋梗塞で死亡するという相続ミステリーでした。

殺された資産家は、結婚して数か月しか経っていないのに、自筆証書遺言を残しており、さらに、多額の保険金を掛けられており3回も同じパターン(心筋梗塞)で死亡し、後妻業の女性は、そのたびに多額の保険金を手にするという流れでした。

その中で、後妻業の女性が自筆証書遺言の偽造、資産家の夫への殺人によって相続人欠格となるという話でした。遺留分の話も少し出てきましたが、第2話のメインの内容ではなかったので、また、別の機会に解説しようと思います。

おそらく3話以降のどこかで遺留分がメインの話も出てくるのではないかと思います。

偽造による自筆証書遺言について

当然ではありますが、偽造による自筆証書遺言の作成は民法上も違法、無効であり、刑法上も有印私文書偽造罪(刑法159条1項)となり刑罰の対象となります。

ただし、自筆証書遺言というものは、似たような字であれば、本人が書いたとされるような文書も物理的には簡単に作ることができます仮に、筆跡鑑定を用いて本人の直筆でないと立証しても一定の割合は、裁判所に本人が書いたものと認定されてしまう可能性が十分にあります。そのくらい実際には、自筆証書遺言の直筆とは、微妙であいまいなものです。

今回ドラマ相続探偵第2話の中では特殊な筆跡分析から、偽造である自筆証書遺言であることがわかり、後妻業の女性自身も偽造を認めましたが、実際の自筆証書遺言では遺言者の直筆かどうかは、真偽不明ということが多々あります。

そのため、相続実務家の観点からは、どんなに完璧な内容で客観的に本人が書いたことが証明されるような環境で書いたとしても自筆証書遺言は、常に不安定な遺言(実際に手続きの時にスムーズに遺言執行できるか不明確)なので、自筆証書遺言はお勧めできないものとなります

法務局を利用した自筆証書遺言書保管制度によって預けた自筆証書遺言であっても自筆証書遺言に変わりないので、お勧めできず、たまき行政書士事務所では、公正証書遺言の作成をお勧めしております

(私文書偽造等)
第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

刑法

相続人欠格について

相続人欠格とは、殺人や遺言の偽造、強迫、詐欺などにより遺言を書かせる等をすると相続権を失うというものです(民法891条各号)。相続探偵2話のお話でいうと、後妻業の女性は、殺人と自筆証書遺言の偽造をしたため、相続人欠格事由(民法891条1号及び5号)に該当し、遺産を一切受け取ることができないということになります。

保険金については、相続とは別の話となりますので、相続人欠格⇒即、受取不可ということにはなりませんが、保険の約款の中で、受取人の資格をはく奪される事由となりますので、保険金も殺人罪が成立する場合には、当然取得をすることは出来ません。

また、今回の相続探偵第2話では、保険契約も本人に成りすまして契約し、署名押印をし、現金を保険会社から詐取しているため、有印私文書偽造罪のほかに、保険会社への詐欺罪(刑法246条1項)に当たる可能性が高いものとなります。

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二~四(略)
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

民法

(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

刑法

まとめ

相続探偵第2話も1話とともに自筆証書遺言がメインの内容でしたが、自筆証書遺言は争いが起こりやすいものの典型といえます。そのため、せっかく遺言を作成するのであれば、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成するのが良いと思います

公正証書遺言は、費用(公証役場の費用と専門家に依頼するときの報酬)が約20万円~30万円ほどかかることが一般的ですが、自筆証書遺言のように裁判で争われるケースは非常に少なくなり、銀行の預金解約も非常にスムーズにいきます

札幌市内や北海道内で公正証書遺言の作成のご相談をしたいとのことであれば、たまき行政書士事務所(札幌市北区)にご連絡くださいますと短時間で半永久利用が可能な公正証書遺言が作成できます。当事務所では年間を通して公正証書遺言の作成サポートを行っております。お体が不自由な方は、自宅や施設での公正証書遺言の作成もできます。

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