日本テレビ系列ドラマ‘‘相続探偵’’第10話(最終話)「遺言書が導く未来」を相続実務家の観点から解説します

相続・遺言コラム

相続探偵とは

行政書士 田巻 裕康

日本テレビ系列によるテレビドラマで、令和7年1月から同年3月末まで各週放送された全10話の物語です。クセが強いが頭が切れる元弁護士が相続専門の探偵として、相続にまつわる様々な事件を解決するというお話(相続ミステリー)でした。

最終話の第10話は、相続探偵である灰江とその生物学上の父との因縁の原因と元灰江相続探偵事務所のアシスタントで医学生の玲子と友人であり元科捜研エースの朝永と羽毛田記者との協力により巨大権力と戦うというものでした

今回は、生物学上の父遺言と遺書の違いについて解説します。

相続探偵第10話 遺言書が導く未来

生物学上の父

第10話は、相続探偵灰江が生物学上の父と表現していた父が戸籍上は父と登録されていないことがわかりました

戸籍の父欄はドラマで描かれていませんでしたが、灰江の生物学上の父である地鶏健吾が、相続探偵灰江がまだ学生のときに養子にもらいたいと灰江の育ての親に告げていることから戸籍の父欄に登録されていないことがわかりました。

父欄に名前があれば、その父が自分の養子として迎えることは戸籍上できない仕組みとなっているため、父欄が空欄であることがわかります。

ドラマ内の設定による戸籍のイメージ

このように【父】の欄が空欄になります。相続探偵がなぜ戸籍上の父と呼ばずに生物学上の父といつも表現しているのかが最終話になってわかりました。

もし、戸籍に父の名前が載っていると一般的には、戸籍上の父と表現します。

遺言と遺書の違い

今回相続探偵のドラマ第9話、第10話にかけて出てきた三つの遺言書(ゆいごんしょ)は、すべて遺書(いしょ)に相当するものでした。

遺言(あるいは遺言書)とは、狭義の意味でいうと本文の内容が遺言者(遺言を書いた人)の財産の帰属を指定している文書です。私たちのような相続や遺言を専門としている者や法律を学んでいる方が使う遺言(ゆいごん)とは、この財産の帰属を指定する文書のことをいいます

これに対し、遺書とは、特に形式はなく遺書を書く方の死後に読んでもらいたいお手紙(生前に思っていた気持ちなどの文章、自由作文)となります。

ただし、法律を詳しく学んだ方以外からすると遺言書も遺書も同じような意味合いにとらえられることもありますので、遺言遺書というタイトルが重要なのではなく、書いている中身の方が重要です

今回の相続探偵第9話第10話で出てくる三つの遺言書は、いずれも遺言書というよりは遺書の性質が強いものでしたが、使い方として間違っているとは必ずしもいいきれません。

遺書と書いて、財産の帰属を指定しているものも遺言と認められることがありますし、遺言書や遺言と書いていても死後の家族へのメッセージの遺書として使うこともあります。

ただし、法律関係の方が遺言相談というのは、ほぼ間違いなく死後の財産の帰属を指定する文書のことをいいます

遺言の読み方

民法という法律を勉強した際、法律家は、遺言を‘‘いごん’’と読みますと私は大学教授から学びました。しかし、実務において遺言を‘‘いごん’’とお客様の前で使う法律家を私は一度も見たことがありません。

少なくともたまき行政書士事務所では、一般的に普及している‘‘ゆいごん’’という呼び方でお客様とお話します

相続探偵でもすべて遺言書を‘‘ゆいごんしょ’’と呼んでおりました。

(遺言の方式)
第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
(中略)
(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

民法

相続探偵全話を通しての感想

全話を通して大変面白いドラマでした。特に、加藤雅也さん演じる地鶏健吾は最後まで悪役を貫き、ものすごい迫力でした。相続探偵灰江も弁護士資格を復活させることができ金バッジをしていたのもよかったと思います。

4つの謎

相続探偵が

  • ① なぜ苦いコーヒー豆を豆のまま食べるようになったのか
  • ② 裏組織と繋がりのある金山のおっちゃんがどのような経緯で相続探偵灰江と過去に繋がりがあったのか、なぜ大事な場面で相続探偵にそこまで協力してくれるのか
  • ③ どのような因縁がありドラマ中盤回まで羽毛田記者が執拗に相続探偵灰江を追い回していたのか
  • ④ 薬物パーティーをし、女性を放置し死亡させた元総理大臣の息子がその後、逮捕されたのか

など、4つの疑問が残ったような気がします。

おそらく、相続探偵灰江が弁護士の資格も生かし、探偵を続ける続編があるのではと思わせる終わり方でしたので、相続探偵2や映画を期待したいと思います

このページの著者

たまき行政書士事務所
代表 行政書士 田巻 裕康

大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

保有資格
行政書士・宅地建物取引士

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