【その終活間違っているかも!?】
第6話 書店で自筆証書遺言の本を購入し自筆証書遺言を完成させている方
相続・遺言コラム
書店で自筆証書遺言の本を購入し何か月もかけて完成した遺言だが
無料相続相談会などを企画すると時間をかけて完成した自筆証書遺言を見てほしいと持参いただくことがあります。
実際に見てみると、確かに、本に書いているような文言は丁寧に書いておりますが、詰めが甘く相続手続きの実務家の観点からすると、このままの自筆証書遺言では相続手続きの際の利用が難しい(遺産分割協議書による相続手続きではなく、遺言を利用して相続手続きをすることが難しい)というものがほとんどです。
遺言は作成して完成ではなく、実際に相続が発生したあとに、自筆証書遺言での手続ができるかが大切になります。遺言を作成したが使えなかったということだと、せっかく終活の一環として時間をかけたことが無駄になります。
よく調べて書いた自筆証書遺言の7つの失敗例
限定しすぎる
自筆証書遺言で一番多い失敗例は、限定しすぎることです。具体的には、
- ① 実際には同じ銀行内に休眠口座もあるのに「北海道銀行の○○支店の普通預金 口座番号○○○○○○〇預金は、長男に相続させる」といった限定
- ② 60代の長男の方が本人(遺言者)より先に死亡する確率が十分あるのに、長男が先に死亡した場合を記載していない、受遺者の限定をしすぎている
というものが限定しすぎる代表例です。
①については、銀行は、基本的には、一部の口座のみについて、相続による解約をすることはできず、全部の支店や口座を一緒に解約するのが基本です。そのため、例えば、例のように北海道銀行に他に口座番号や他の支店にもあったにも関わらず記載漏れがあり、一部の口座に限定すると書かれていない部分は解約することができず、結局遺言で処理できないため、遺産分割協議をすることになります。
②については、人は誰が先に死亡するかわからないということです。条文上(民法994条1項)も裁判例においても、遺言によって受遺者が指定されている場合(今回の例でいえば長男)、長男が先に死亡していた場合には、長男に指定していた部分は無効になります。長男に子供がいたらその子供に遺言によって遺産が行く仕組みにはなっていません。
解決方法としては、予備的遺言(長男が遺言者より先に、死亡していた場合には、孫〇〇に相続させる。など)というものを作成することです。
第994条1項
民法
遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を有しない。
2項
(略)
内容があいまいである
次に、多いのは、内容があいまいであることです。
- ③「北洋銀行の預金については、長男と二男で話し合って均等に分けてほしい。」
- ④「遺言執行者を長男と二男に指定する。」
- ⑤「相続した後は、そのまま駐車場として利用した方がいいと思う。」
というものなどです。
遺言に書く内容は、どの方が読んでも一通りに解釈できるものでなければなりません。
遺言によって相続手続きに応じる銀行側としてはあいまいな文言の場合、間違った処理をしないように、相続人全員同意書などを求めることがあります。遺言を使うのに同意書を全員から取らないといけないのは、遺言を作成した意味を失うともいえます。
具体的に③の点を改善するには、「長男と二男で2分の1ずつ相続させる。仮に端数が出た場合、分けることができない利息等については、長男に相続させる。」とすると一通りに解釈でき、遺言による銀行相続手続きができるでしょう。
④「遺言執行者を長男に指定する(基本的に1人とするのが良い)。」とするとあいまいさが取れ明確な遺言となります。
⑤については、遺言の射程範囲ではなく、いわゆる付言事項の内容となります。
参考記事(付言についての解説)
大事な部分が欠けている
あと、考えられる失敗例としては、
- ⑥ 遺言者氏名は書いてあるが、生年月日が書いていないもの
- ⑦ 遺言執行者の指定の記載がないもの、作成日の記載が不十分なもの、財産の一部が欠け網羅されていないもの
などです。
例えば、⑥の例でいえば、佐藤大輔さんの死亡のとき、佐藤大輔さんは、かなり全国でも多くいる名前のため、少なくとも生年月日で特定した方が良いでしょう。
また、⑦については、非常によくある例で、遺言執行者の指定がない場合、銀行手続きでは、銀行から同意書や誓約書を法定相続人全員に求められることがあります。
自筆証書遺言は遺言執行時のリスクが高い
自分なりに十分に調べて作成した自筆証書遺言は、上記のようにかなりの確率で不完全なものが多いということと、自筆証書遺言自体に内在するリスクがあるため、できればその自筆証書遺言をベースとして、専門家の関与のもとで公正証書遺言に変更した方が良いと思います。
自筆証書遺言自体に内在するリスクについては、その終活間違っているかも第3話や、自筆証書遺言と公正証書の違いを解説した記事があるためご興味のある方はご参照いただければと思います。
公正証書遺言の作成について無料でご相談いただけます
自筆証書遺言を作成したけれど不完全で使えない遺言の場合、自筆証書遺言の存在がかえって相続人同士の仲を悪くすることがあります。協議の前に険悪な状態で遺産分割協議をすることになり、自筆証書遺言を作成していなかった方がむしろ良好であったと思うことも実務の現場では多々あります。
そのため、せっかくご自身の想いを遺言として残すのであれば、公正証書遺言を作成し、確実に遺言通りの手続きができるようにするとよいでしょう。
本格的な遺言の相談は意外とできる実務家が少ないため、もしご近所お知り合いでご相談する方がいなければ、相続遺言専門のたまき行政書士事務所(札幌市北区)にご相談ください。
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