令和5年7月3日に国税庁の路線価が令和5年度分に更新されました。相続との関係(札幌市を中心)について解説します

相続・遺言コラム

路線価とは

路線価とは、かみ砕いて言うと、不動産の価格を出す基準となる土地1㎡当たりの金額を示したものです。例えば、札幌市北区北32条西5丁目3番28号(当事務所の所在地)に自宅土地建物(土地は150㎡)を持っている場合、国税庁路線価は、1㎡あたり20万円国税庁HP参照)となっておりますので、土地の価格については、単純計算すると20万円×150㎡=3000万円となります。

実際には、角地だと加算されたり、電線が上空を通過していると減額されたりと増減しますが、大まかな計算としては、路線価×面積(㎡)で土地の価格は求められ、相続財産となる土地の価格を計算する分にはこの計算式で十分といえます

住宅街になっていない地域や、人口の少ない地域は、路線価というものが存在しないことがあり、その場合、倍率表というものを用いて計算しますが、今回は説明を省略します。

毎年7月初旬に1年間の路線価が公表されます

令和5年7月3日(月曜日)に最新の路線価が公表されました(国税庁HP参照)。

札幌市内の路線価では、新札幌駅前の通りの上昇率が高かったようです。新札幌エリアのように再開発が進むと路線価も上がります。

日本ハムファイターズが中心となって構想し建築された、北広島市の北海道ボールパークFビレッジ(球場名称:エスコンフィールド)周辺の住宅街の路線価も、令和5年度以降どんどん上昇すると思われます。

さて、7月というなんとも中途半端な時期に公表される路線価ですが、相続税の計算式(相続財産の計算を出すとき)では、その年の1月1日から12月31日までの計算で使います

今年度(令和5年度)の路線価は令和5年7月3日に公表されましたが、令和5年1月1日に相続が発生した方も、令和5年10月1日に相続が発生した方も、令和5年7月3日に公表された令和5年度の路線価(国税庁路線価と呼ぶこともあります。)を用います

例えば、1月1日に死亡した方がいて、順調に財産調査、相続手続きが済んでいたとしても、税申告をするときには、国税庁が最新の路線価を発表する7月まで待ってから土地の計算していくこととなります。当事務所でも、例えば、1月に死亡した方の相続手続きを受任し、5月には相続手続きを終えて、税理士さんに素早く引き継いだとしても、相続税の税務署への申告は、7月以降まで待ってから行うことになります

札幌市の住宅地の路線価(令和5年度最新版)

たまき行政書士事務所は札幌市北区にあるため、一番多く担当する地域は札幌市北区となります。そのため、今回は、札幌市北区の平均的な路線価を解説します。

地域路線価
札幌市北区あいの里1㎡あたり3万円~4万円
札幌市北区麻生町1㎡あたり13万円~14万円
札幌市北区篠路1㎡あたり3万5千円~4万円
札幌市北区新琴似1㎡あたり5万5千円~6万5千円
札幌市北区太平1㎡あたり4万7千円~5万7千円
札幌市北区拓北1㎡あたり3万2千円~3万7千円
札幌市北区屯田1㎡あたり4万5千円~5万7千円
札幌市北区東茨戸1㎡あたり1万6千円~2万4千円
札幌市北区南あいの里1㎡あたり3万3千円~3万8千円
札幌市北区百合が原1㎡あたり5万3千円~5万5千円

札幌市北区の住宅街を調べてみると、麻生町や新琴似のように地下鉄に近いエリアを除き、1㎡あたり3万円~4万円が札幌市北区の住宅街の平均的な路線価と考えて良いでしょう。

一軒家を建てる時の面積は、代表的なハウスメーカーの場合、50坪弱~60坪を求められますので、㎡換算で160㎡~198㎡が、札幌市北区の一般的な土地のサイズです(ちなみに、東京23区などでは、一軒家でも30坪以下の土地も多いです。)。

特に、三角の屋根タイプの北欧型のかわいらしい家を建てるようなときには、50坪以上(165㎡)は最低限必要といえます。北海道内の場合、

  • 落雪した雪をためる場所が必要であること
  • 建築基準法や条例などで、建物以外の空間をある程度求められること

などの理由により、土地に50坪以上の面積を求められます。

札幌市北区の一軒家に住んでいた方が死亡した場合の土地の評価額は、路線価に引き直すと3万円×150㎡=450万円と計算式が成り立ちます。

札幌市の住宅街では相続税の基礎控除額以下の方が多い

今回は、札幌市北区を中心に土地の価格を計算をしてみましたが、札幌市の住宅街では、意外と土地の価格が低く評価されていることがわかると思います

例えば、土地を1200万円で購入して、建物を2000万円で建てた場合、お客様としては、自宅土地建物の価値は3000万円を超えるだろうと考えるかもしれませんが、実際には、建物を建てた35年後に相続が発生した(死亡した)とすると、札幌市北区の住宅街では、土地および建物の評価額合計が1000万円以下になることも少なくありません(土地が路線価計算で450万円、建物は築35年位だと200万円程度の評価(固定資産税評価額)となることが多いです)。

札幌市内でも、中央区など路線価が極端に高い地域(1㎡当たり20万円以上)がありますが、この地域に住宅を所有している方の所有形態は、区分所有マンションがほとんどなので、土地の評価(敷地権評価)が高額になることはありません。

そのため、中央区の区分所有マンションに住んでいる方がお亡くなりになった場合でも、相続税の申告をあまり心配しなくて良いケースが多いといえます。

まとめ

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今回は、札幌市内、特に札幌市北区の路線価について解説しましたが、相続の分野での土地の価格計算は、大まかに調べた後、最終的には個別具体的に検討する必要がありますので、インターネットなどで調べて分からない場合には、早めに相続の実務経験が豊富、あるいは、その地域に詳しい専門家に相談するのが良いでしょう

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