【その終活間違っているかも!?】
第1話 「預貯金を不動産にすると節税効果が高いらしいから、子供のために節税と資産形成のため、賃貸用マンションでも購入しよう」と思っている方

相続・遺言コラム

世の中に多くある終活という言葉

終活という言葉は、人生のわり(死亡)に向けたさまざまな動を略した言葉です。

具体的には、自分の老後についての対策(施設に入るか入らないか)や、死亡した場合にご遺族が困らないように、

  • 遺言を作成する
  • 節税対策をする
  • いらないものを片付ける(生前整理)
  • 権利関係を整理する(登記していないものをちゃんと登記しておく、ローンを返済しておく、個人事業を閉める、会社を息子に承継する)

ということなどいろいろな意味合いで使われます。

この言葉が一般に使われ出したのは、2009年~2010年あたりといわれ、2010年には、この時期に毎年発表されるユーキャンの新語・流行語大賞にノミネートされました。

その後も、終活ブームというものは現在でも続き、終活をテーマにセミナーを開き、自社の商売のきっかけとする業者さんも多く現れました。

終活というものは特に正解があるわけではありませんが、相続や遺言、相続不動産売却の実務をしていると、その終活間違っているかも!?と感じるものが多数出てきますので、『その終活間違っているかも!?』というテーマで不定期に連載しようと思います。

テレビを見ていたら、不動産特集をやっていて節税効果が高いらしいからマンションを買ってオーナーになろうかな

昔からよくある投資勧誘話で、札幌市でいえば、札幌市営地下鉄圏内に広い庭付き一軒家を建て住んでいると、‘‘現金を不動産に代えると相続税の節税効果があるからマンションやアパートのオーナーになりませんか’’という話が来ます。

不動産業者の営業トークでは、

  • ⅰ. このようないい土地に住んでいるのに一軒家に住んでいるだけではもったいない
  • ⅱ. マンションやアパートにすれば、毎月の賃料が入り、なおかつ、あらゆる節税効果があります。たとえば、相続税の話でいうと、3000万円の預金で3000万円の新築アパートを建築すると、建物は、税の評価で2000万円くらいの評価額に下がり、なおかつ、借地権割合の適用で土地の評価も下げることができます。
  • ⅲ. 税の評価額が下がるだけで、資産価値はむしろ上がり収益物件として相続発生後もお子様に財産を残すことができます

といった話があります。

さらに、

  • すべて現金にて購入しないでもよいのです、新築アパートを担保にアパートローンを組めば、さらに節税効果を得られる場合があります。

などといわれることがあります。

不動産は素人が手を出して成功するほど甘くはない世界

先に、出した不動産の営業トークには、嘘があるとはいえません。節税効果もあり、うまくいけば子供に優良な資産を残すことができるかもしれません。しかし、不動産投資には常にリスクがあることを理解すべきです

【リスク1】借主の孤独死

例えば、2LDKや1LDKの部屋が計6ケある2階建て新築アパートを建て、5つの部屋を賃貸にし、その一つにオーナーの自分自身が住むとします。人が住むと賃料が発生しますが、リスクも増えます。その一番の典型例が、貸し部屋での賃借人の死亡です。

たまき行政書士事務所で相続手続きのご依頼を受ける中で、結構多いのが一人暮らしの高齢者男性の孤独死です。しかも、50歳代や60代で死亡する方も多いです。

昭和生まれの男性は、一般に酒やたばこを好み、不規則な生活になる傾向があるため、心筋梗塞などで死亡する方がおります。

孤独死してすぐに発見されるとよいのですが、通常一人暮らしの方が死亡して発見されるのは数日後~1か月後位です。発見されるタイミングはにおい(死臭)の発生です。

においが充満してしまうような状態であると近隣に‘‘いわゆる事故物件’’であることが周知され、リフォームをしたとしても、その部屋はもちろん、そのマンション全体も心理的瑕疵あり物件として、従来通りの賃料で借り手を付けるのが非常に難しくなります

【リスク2】年数経過により不人気となる

新築アパート当初はきれいで人気がありますが、10年以上経過してくると魅力が少なくなり、空き部屋が出て募集しても人が入ってくれなくなりますので、賃料を下げざるを得なくなることがあります

【リスク3】維持管理コストがかかる

築年数が15年以上経過してくると外壁塗装をしたり、手すりの修繕をしたりメンテナンスが必要となります。部屋の中についても、壁紙を取り替えたり、フローリングを張り替えたりと賃料を維持するための管理・修繕コストがかかります

【リスク4】相続発生後トラブルになりやすい

現金であると1:1で分ける、6:4で分けるなど融通が利きますが、アパートは不動産ですのできれいに分けることはできません。確かに、共有にするという手段もありますが、固定資産税は、役所の対応として、共有者の一人に納税通知や納税義務がきます。また、共有だとしても賃料も複数名に分けて振り込んでもらうわけにもいきません。

現金を不動産に代えて税に関する評価額は下げることができても、現金を不動産に代えると相続が発生したときのトラブルになる確率は圧倒的に高まります

そのため、相続や遺言のご相談で不動産を購入しようとしている方がいると、投資用不動産所有のリスクを説明し、仮に節税効果があっても、相続手続きの際、紛争の種になるということを説明します。そして、それでも不動産を購入するのであれば、公正証書遺言を作成するなどが必要ですとお答えしております

実はそれほど相続税対策というのはしなくてもよいことが多い

例えば、相談時点で現金預貯金3500万円、自宅土地建物の評価額が3000万円(札幌市中央区土地2500万円、築35年の建物500万円)という方の場合、基本的に相続税対策をするべき方はほとんどいません。(相続税対策のために、アパートを購入したりする必要性はありません。)

仮に、現在の税制度で夫が死亡した場合、相続人が3名のため、相続税の基礎控除額は、4800万円(3000万円+600万円×3人)です。一見すると、1700万円分基礎控除額を超えていると思われますが、自宅を妻か同居の長男が相続した場合には、小規模宅地等の特例(土地評価額を2割にする方法)が基本的に適用することができますので、自宅と土地500万円(小規模宅地の特例の適用)+建物500万円で自宅土地建物の評価額は、1000万円となります。

そうすると仮に死亡時の現金預貯金も3500万円だとすると、自宅土地建物(評価額は、1000万円となる)を合わせ4500万円となり、相続税の基礎控除額(4800万円)に満たないため相続税はかかりません。ただし、特例を適用するため、相続税は0円であるという相続税の申告自体は必要です。

まとめ

今回は、終活ビジネスの典型例である相続税対策としての不動産購入についてのリスクなどを相続遺言の実務家の観点から解説しましたが、相続関係でお困りの方は、置かれている状況は様々です。

そのため、遺言や税、不動産実務、相続手続きの観点から総合的に判断してより最適な終活方法を考える必要があるといえます。

たまき行政書士事務所では、相続や遺言、不動産、終活のご相談を無料で行っております。一度、実務家の観点からアドバイスしてほしいという方がおりましたら、お電話メールラインにてお気軽にお問合せください。

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