相続手続きにおいて出てくる士業の分類について詳しく解説します
相続・遺言コラム相続はだれに相談すればよいのか

相続の業務は、様々ですが一般に相続相談というと、
- ① 相続手続き全般の相談
- ② 相続税の相談
- ③ 相続発生前の生前相談
の3分類に分けられます。
無料の相談のみでしたら、資格は特に必要ないのですが、やはり通常は、いわゆる士業(行政書士、司法書士、税理士、弁護士など)に相談するのが一般的です。
個別の相続の相談は、インターネット検索、あるいはAIなどで解決できるものではなく法律、税、相続人同士の感情問題など複合的なものです。そして、相談する相手により解決できるはずの問題がかえってこじれたり、税金が多く取られる結果となったりと相続実務の経験値が十分にないととてもできない内容です。
経験値の判断は、士業者や事務所によりさまざまで一概に説明はできないのですが、士業の分類でしたらある程度一律に説明できますので、今回のコラムでは、相続にまつわる士業の分類を北海道札幌市に事務所をもつ行政書士の観点から解説してみたいと思います。
そして、どのような方に相談すればよいのか参考にしていただければと思います。
行政書士
たまき行政書士事務所(札幌市北区)は、相続遺言専門の行政書士事務所ですので、勝手ながら行政書士から解説します。
権利行使あるいは義務履行の関係の書類を業務として(報酬をいただいて)作成することができるのが行政書士です。
また、権利義務の書類でなくても、事実関係を証明する書類、官公署(市役所や警察署)に提出する書類を業務として作成できるのも行政書士です。そのため、相続手続きの業務においては、行政書士の職務範囲がとても広いです。
たとえば、
- 財産調査
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書作成
- 銀行書類の相続人様の代理での記入押印
- 法定相続情報一覧図の作成
などができます。また、車の相続でいえば、自動車保管場所証明書(いわゆる車庫証明書)の取得(警察署)、自動車の名義変更書類の作成提出(運輸支局)、公正証書遺言の原案作成も行政書士の業務の範囲です。
さらに、行政書士の範囲内の業務を受任した場合に限り、書類作成に必要な戸籍や住民票も職権で取得できます。相続でいえば、相続人の確定資料となる法定相続情報一覧図の作成の際、戸籍や戸籍の附票、及び、住民票や除票を職権で取得することができます。
また、法定相続情報一覧図という書類は、提出先が法務局なのですが行政書士も作成することができます。たまき行政書士事務所でも法定相続情報一覧図を毎年多数作成しております。
また、遺言(公正証書遺言)の原案サポートも行政書士が行っております。行政書士以外では、弁護士の方や司法書士の方も遺言の原案作成サポートをしていることが多いです。
参考記事
ここからは、少しマニアックな話ですが、地目が田や畑などである被相続人の農地を相続人が相続した後で農業従事者以外の他人に売却や贈与をしたい場合、農地となっている地目を原野や雑種地あるいは山林などの農地ではない地目に変更をする必要があります。(農地のままでは農地法の関係で農業関係者以外には売ることができないからです。)
地目変更をするには、最初に農業委員会に現況が農地ではないことの証明書(非農地証明書)の発行をしてもらう必要があります。農業委員会は行政機関ですので、農業委員会への申請は行政書士(弁護士も可)が専門家です(司法書士は申請不可。)。
ちなみに、非農地証明書を取得した後は、土地家屋調査士が法務局に地目変更登記(表題登記の一種)をします。
司法書士
相続登記の際の(「権利部 甲区」と「権利部 乙区」に関する)登記申請書を作成する専門家が司法書士です。司法書士は、相続の分野では、相続登記、相続した後の空き家の売買登記、法定相続情報一覧図の作成、抵当権の抹消登記などを行います。
銀行の相続手続きは、業務として行っている司法書士と行っていない司法書士がいます。比較的ご高齢の司法書士の先生は、相続登記は行うが銀行の業務は一切行わないという方が多いかもしれません。
また、司法書士は、過払い金の返還請求や債務調査の権限がありますので、相続人が被相続人の債務を弁済する際に、債務の調査をしてもらうこともできます。ただし、相続人が依頼する債務調査、過払い金返還請求については、あまり扱っていない司法書士事務所もあります。
司法書士は、行政書士とともに相続の実務では中心的な役割をする資格です。司法書士も、遺産整理業務全般(財産調査、財産目録の作成、遺産分割協議書作成、銀行書類の相続人様の代理での記入押印、法定相続情報一覧図の作成)をすることができますので、司法書士事務所と行政書士事務所は業務範囲が重複しているところも多くあります。たまき行政書士事務所では、相続登記申請については、提携する司法書士に依頼し完結しております。
弁護士
弁護士は、主に紛争性の強い相続案件(いわゆる争族案件)を担当します。もちろん、行政書士や司法書士の分野もすべてカバーしているオールマイティーな資格ではありますが、実際には、紛争性のある相続は、弁護士、紛争性のない案件は、行政書士、司法書士の分野とほぼバッティングすることなく分かれています。
そのくらい、紛争性の強い相続、紛争が顕在化していない相続は同じ相続問題とはいえず、まったく別物です。そして、紛争性の強い案件は、弁護士の専門領域なので、他の資格者や一般の方が弁護士の活動をすると弁護士法違反となります。
相続人の一人の味方として代理したり、他の相続人と交渉をしたりすることは弁護士のみができる領域です。
そのため、行政書士や司法書士、税理士は特に、弁護士法に反しないように注意深く相続案件を受任しています。
税理士
税理士は、相続の分野でいうと相続税の申告(死亡後10か月以内)や、相続発生時に相続税を軽減するための対策など、税に関する生前の相談などを行っております。
また、相続人が被相続人から空き家を相続した後に不動産を売却した場合には、不動産譲渡所得税の申告や、被相続人が個人事業主などで、収入を毎年確定申告をしていた場合の準確定申告(死亡後4か月以内)についても担当します。
たまき行政書士事務所では、たまき行政書士事務所での相続手続き後、相続税申告や不動産譲渡所得税の申告、準確定申告が必要な方のために、税理士をご紹介しております。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、相続の分野では、表題部の登記申請を行います。表題部とは、土地の登記簿でいえば、所在地番、地目、地積が表示された部分で、建物でいえば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積の記載のある部分です。
例えば、相続の場面では、増築しているにもかかわらず、増築部分についての表題部の変更登記を相続手続きの際に行うことがあります。
近年、登記されている建物の情報と実際に存在する増築した建物の現況に違いがあるときに建物の火災保険に入れない場合が多々あります。
たまき行政書士事務所で担当していた実際の事案であったのが、一階建て建物として表題登記されていたものが、現況は二階建てであったため、上申書を付けてやっと権利部の相続登記はできても、表題部と現況が異なるため、現況通りに表題部を変更しない限り火災保険に入れなかったというお客様がいました。
そのため、たまき行政書士事務所では、相続手続きの後に、土地家屋調査士をお客様に紹介し、土地家屋調査士に測量の上で二階建てに表題部の変更登記をしてもらい、損害保険会社も紹介し火災保険に入ることができました。
また、土地家屋調査士は、測量の専門家でもありますので、例えば、空き家を相続した後に売却する際に、事前に土地の現況測量や確定測量を行うことができます。
たまき行政書士事務所(併設のさくはな不動産)でも、たびたび土地家屋調査士の方に空き家売却前の現況測量を依頼しております。
宅地建物取引士

宅地建物取引士は、不動産取引の専門家です。相続の場面でいうと、空き家を売却する際の不動産売買の仲介を行います。
また、生前の相続対策で不動産を売却、資産の整理をする場合にも宅地建物取引士を中心に不動産取引が進みます。
相続・遺言専門のたまき行政書士事務所では、代表の田巻が行政書士と宅地建物取引士の資格、宅地建物取引業の免許を保有しておりますので、不動産取引の際にも宅地建物取引士として相続した空き家の売却を担当しております。
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相続・遺言専門のたまき行政書士事務所
- 代表 行政書士 田巻裕康
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