公正証書遺言と自筆証書遺言どちらを作成した方がよいですか?
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たまき行政書士事務所では、遺言書は基本的に自筆証書遺言でなく、公正証書遺言をお勧めしています。
実際には、自筆証書遺言と公正証書遺言の法定効力に優劣はありません。
しかし、私たちのような実務家が一番気にするのは、遺言書を作った後、実務上有効に使われるかどうかです。
自筆証書遺言は、確かに、
- ①全文を自筆で書くこと
- ②日付と氏名も自筆で書くこと
- ③押印すること
のみが法律で定められております(民法968条1項)。
この要件を満たせば、法律上有効な自筆証書遺言といえます。
しかし、法律上有効であるからといって、実際に遺言を残した方がお亡くなりになった後、遺言が実務上有効に機能するかというと別問題です。問題となる例を考えてみます。
自筆証書遺言で問題となりやすい例
1. 内容が不明確である
一番問題となりやすいのが、内容が不明確であるということです。例えば、
- ①「私の財産を仲良く兄弟で分けること」
- ②「〇〇銀行の普通預金の200万円を長男Aに相続させる(実際には、定期預金しかない)」
- ③「我が家を長男に渡す。」
などです。
これは実際によくある、遺言が機能しなかった例です。
①については、仲良く兄弟で分けると書いていても割合が特定されていないので、遺言として意味を持たない書き方となってしまっているケースです。
②については、どれについて書かれた内容なのか家族にはなんとなく分かるけれども、銀行の担当者からすると不明確なので、“この自筆証書遺言では当銀行は手続きできません”と言われたりするケースです。
③については、我が家とはどの家なのか、不明確であるということです。別荘がある場合だれに相続させるのか、隣の駐車場として利用している土地はだれが取得するのかわからないケースです。
つまり、法律上は有効でも内容が不明確・特定されていないため実務上使えないというケースです。
2. 自筆証書遺言によって不利益を受ける方が隠匿する可能性がある
タンスから自筆証書遺言書を発見した方が、自筆証書遺言を読んだ場合、自分以外の方に財産が渡るように書いてあったら、自筆証書遺言書を隠匿する可能性があります。
なぜなら、その遺言の存在を知っているのが自分の他にだれもいなかったら、隠匿してしまえば、他の方は実際のところはわからないからです。
もちろん、法律上では、自筆証書遺言書を隠匿することは、相続人の欠格事由(民法891条5号)として、自筆証書遺言書の隠匿行為をすることを予防しています。
しかし、現実には、誰も見ていないところで自筆証書遺言書を隠されると監視カメラでも仕掛けていない限り隠したことがわかりません。
自筆証書遺言を隠された(隠匿された)場合どうなるでしょうか。
この場合、通常の相続人間での遺産分割協議をすることになり、遺言はなかったものとして進められてしまうので、せっかく自筆証書遺言を書いたのに意味がなくなります。
3. 遺言によって不利益を受ける方が、「本人が自発的に書いた遺言ではない」と主張して争う
遺言は、遺言によって財産を得る方からすると良いものですが、遺言によって財産を得ない方からすると、気持ちの良いものではありません。
また、遺言で利益を受けない方が、なぜそのような扱いを受けたのか理解できない場合には、遺言によって利益を受ける方に対して、何か指図したのだろうとか、無理やり書かせた、または、そそのかしたと言ってくることもあります。
自筆証書遺言書の筆跡が遺言者のものであるということが認められても、それがどのような状況で書かれたものであるかは証明できません。
そのため、遺言自体を使えなくするために、遺言は無効であると、不利益を受ける方が家庭裁判所に主張する可能性があります。
そうすると、いつまでも遺言書通りの結果は実現されず、遺言の執行ができないことになります。
4. 家庭裁判所に検認をしてもらうのに1か月以上かかる(公正証書遺言の場合検認は不要)
自筆証書遺言は、銀行の解約手続きや不動産登記をする際に、そのまま使えるものではありません。
ご存知の方も多いかもしれませんが、家庭裁判所での検認(民法1004条1項)という作業が必要になります。
検認とは、家庭裁判所で、その自筆証書遺言が遺言としての方式を満たしているか(外形を満たしているか)を判断するものです。
検認に出す際には、相続人が、そのⅰ自筆証書遺言の原本とⅱ相続に関する戸籍一式、ⅲ検認に関する裁判所への申請書をそろえて出す必要があります。
相続に関する戸籍一式とは、一般的な配偶者と子が相続人のケースでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本です。
この戸籍収集と提出書類の作成を完了するまでに少なくとも1か月くらいはかかります。その後、家庭裁判所に検認に出してから、呼び出しがあり、検印が押された書類が届くまでにさらに1か月くらいかかります。
そうすると計2か月は相続手続きをせずに待っていなければならない状況が続きます。
公正証書遺言の場合
公正証書遺言は、行政書士(または、弁護士、司法書士など)が遺言原案を作成したあと、公証役場に原案を提出し、公証役場にいる公証人が作成したとする形をとる遺言です。
公証役場で公正証書遺言の原本を作成する日には、証人を2人連れていく必要があります。
行政書士など遺言の専門家にかかる報酬に加え、公証役場の費用、事務所によっては、証人2人の日当が掛かります。合計すると費用がかさむというのが公正証書遺言のデメリットといえるでしょう。
しかし、公正証書遺言の効果は、遺言者の意思を実現するという点では非常に優れています。
まず、自筆証書遺言の時に挙げた例と対比してみると、
1. 公正証書遺言は、内容が明確なものになる
公証役場に原本を提出する際には、内容を明確にして提出しなければ受け付けてもらえません。
例えば、不動産について記入するには、地番などが示してある登記簿を添付しなければなりません。
2. 公正証書遺言は、遺言書を隠匿、改ざんされる可能性がない
公正証書遺言は、公証役場で原本を保管し続けてくれるので、この原本を隠匿したり、改ざんすることは不可能です。
3. 公正証書遺言は、本人確認を元裁判官などの公証人が面前でするので、本人が自発的な意思で作成した遺言であることを証明できる
公証人は当日、公正証書遺言の原本を作る前に本人確認をします。具体的には、運転免許証や保険証などで本人確認をします。また、その方が遺言を書くことのできる意思能力があるかについても直接目でみて確認します。
よって、無理やりだれかがそそのかして書かせた遺言であるということを言われることはありません。
4. 公正証書遺言は、検認がいらない(民法1004条2項)
公正証書遺言は法律により、検認という作業をしなくてよいことになっております。公証人は元裁判官や検察官であったりする、いわば公的な機関の方でありますから、その方が作った遺言には遺言としての有効性が担保されているからです。
このように、実務上は公正証書遺言の方が確実に遺言を残す方の意思が反映されるので、通常は遺言の専門家であれば、公正証書遺言の作成をお勧めすると思います。
しかし、例えば、意識ははっきりしているが死期が迫っているなどの場合には、公正証書遺言を作成する時間がない時もあります。そのようなときについては、自筆証書遺言を検討するとよいでしょう。
また、遺言を作成することによってかえって後々の家族関係が悪くなることもあります。
たまき行政書士事務所では、公正証書遺言の原案作成や、遺言を作るべきか作らないべきかの相談もしております。
初回相談は無料ですのでお気軽にお問合せください。
なお、費用については、証人2人の立ち会い付きで13万2千円(税込・実費数千円別)となっており、北海道の専門家の相場より、費用が抑えられておりますので費用の面でも安心してお頼みすることができます。
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