相続人の方へ届く固定資産現所有者の申告についてのお願いに関して
相続・遺言コラム自宅などの固定資産を所有している方がお亡くなりになると、当該固定資産の所在する市役所や町村役場の資産税課などから、相続人の方へ“固定資産現所有者の申告についての(お願い)”というタイトルの書面が送られてくることがあります。
今回の相続コラムでは、この相続人の方に届く書面について詳しく解説します。
相続人の方へ届く“固定資産現所有者の申告についての(お願い)”とは
自宅などの固定資産(固定資産税が発生している不動産)の所有者がお亡くなりになると、その死亡の情報が戸籍システムによりほぼ自動的に各役所に届きます。
そのため、固定資産税の請求を担当している市役所、あるいは町村役場の資産税課の担当の方は数か月後、原則として死亡届を出した相続人の方に、固定資産税を払ってもらう方を指定する用紙(固定資産現所有者の申告についてのお願い)を送ります。
書面の名称は市町村によって若干異なります。“納税代表者の届出書提出のお願い”という名称や、“未登記不動産の所有者変更届けのお願い”という名称で届くこともあります。
相続登記が完了するまでは、固定資産税の請求を次は誰にするのか、市町村の方で一方的に決めることはできないので、相続登記が完了するまでのしばらくの間、当該固定資産の固定資産税を誰が代表で払うかを決めてもらうために、書類が届きます。
固定資産税の発生時期と納税通知書兼支払書が届く時期について
当然ですが、固定資産税は固定資産(不動産)の所有者が支払います。
ただ、年の途中で所有者が変更されることもありますので、どの市町村も、便宜上、1月1日時点での所有者に1年分の固定資産税を請求します。
市町村の資産税課などは、固定資産税を請求するための事務処理を1月に行い、札幌市ですと4月末頃に、固定資産所有者の住所に固定資産税納税通知書を送ります。
固定資産税納税通知書は、市町村によっては5月の連休明け位に届くこともあります。
固定資産の所有者に相続が発生した後の流れについて
相続が発生した固定資産(不動産)の固定資産税も、1月1日時点の登記名義人に請求されます。
ただし、1月1日時点の登記名義人が前年の12月に死亡している場合は、登記名義人に請求されません。
市町村の資産税課の方は、固定資産の所有者が死亡しているが、相続登記が完了していないことまでは把握しているので、被相続人と親しいと思われる、死亡届を出した相続人に“固定資産現所有者の申告についてのお願い”という書面を送ります。
相続登記(不動産の相続手続き)にはある程度時間がかかりますので、“固定資産現所有者の申告についてのお願い”は、登記名義人の死亡後すぐには送られてこないのですが、2か月位経つと送られてきます。
“固定資産現所有者の申告についてのお願い”が届いたら記入して返送するべきかどうか
“固定資産現所有者の申告についてのお願い”が届いた方から、「お願い通りに書類を記入して役所に返送するべきですか?」と、初回相続相談の際にご相談をいただくことがよくありますが、回答としては、死亡時期と登記完了予想時期によって返送すべきかどうかが変わってきます。
返送の必要がない場合
例えば、被相続人が死亡したのが7月1日で、相続登記の完了が10月1日頃になる場合は、“固定資産現所有者の申告についてのお願い”を返送しなくても特に問題はありません。
10月に相続登記が完了した時点で、役所の資産税課の方々は、次の固定資産税の支払い義務者が誰になるのかを、登記の通知機能によって把握できるからです。(役所は、死亡があったことと、登記が変更されたどうかを把握できるようになっております。)
翌年の4月末頃(札幌市の場合)には、次の固定資産税の支払い義務者に固定資産税納税通知書が届きます。
返送した方が良い場合
例えば、被相続人が死亡したのが12月1日で、相続登記の完了時期が翌年の2月1日頃になる場合は、“固定資産現所有者の申告についてのお願い”は返送した方が良いです。
なぜなら、被相続人が死亡したのが12月1日だと相続登記は年内には間に合わず、翌年の1月1日時点では死亡した方が登記名義人となっているため、1月~3月頃に資産税課の方々が固定資産税の請求先を選定する際、誰に請求書を送って良いかわからなくなるからです。
“固定資産現所有者の申告についてのお願い”が届いた時点で、次の所有者が誰になるのかわかっているのであれば、次の所有者の住所、氏名、連絡先を記入して、本人確認書類を添えて役所の資産税課などに速やかに提出した方がよいです。
申告書(固定資産現所有者の申告についてのお願い)の提出によって登記名義人を変更するものではありません
「申告書の提出によって登記名義人を変更するものではありません」
このような文章が、“固定資産現所有者の申告についてのお願い”に必ず書いてあります。
いわゆる所有者不明土地、空き家問題というのは、“固定資産現所有者の申告についてのお願い”は提出しているが、登記の名義変更手続きが完了していないもののことです。
不動産の相続手続き(相続を原因とする所有権移転登記)は、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の現在の戸籍、相続人に死亡している方がいる場合は、その相続人の出生から死亡までの戸籍を集める必要があるので、なかなか大変な作業です。
もし、相続手続きにお困りでしたら、一度相続手続きに詳しい専門家にご相談してみると良いでしょう。
登記義務化の時代に突入
最近まで、相続登記はあくまで任意で行うもので、必ずしなければならない手続きではありませんでした。
相続登記には、専門家に支払う費用や登録免許税などがかかるので、相続登記せずに放置していた事例もよくありました。
しかし、所有者不明土地、あるいは空き家問題が多発したことで、数年前から登記を義務化しようという流れになってきました。
最近(2022年1月現在)、登記義務化の話題が新聞等で取り上げられておりますが、現在、国の方で詳細を詰めているところです。
空き家問題を解決するための施策として相続登記を義務化し、相続登記が未完了の場合、相続人が責任を負うこととなります。
例えば、亡くなった父名義の土地建物があって、父が死亡して7年以上経っているのにまだ相続手続きをしていないという状況であれば、そろそろ相続手続きの準備をした方がよいでしょう。
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