価値のない原野なのに「売ってくれませんか(仲介させてくれませんか)」という電話が来る
相続・遺言コラム原野商法の土地の特徴
たまき行政書士事務所では、相続相談の際、昭和40年から50年代に流行した原野商法で購入してしまった土地についてのご相談をお受けすることがあります。
原野商法で取得してしまったような土地(原野)でも、相続が発生したら相続人に名義変更する必要があるのですが、原野はその後、
- 宅地として利用できない
- 売却できない
- 自治体に寄付もできない
- 不動産業者さんも割に合わない仕事であるとして取り扱ってくれない
という状態になります。
その理由を一言でいうと、原野商法で取得してしまった土地は、“建物(特に住宅)が建てられない土地”だからです。
一概にはいえませんが、原野商法で取り引きされた土地は、
- 1. 市街化調整区域(市街化を抑制する地域)
- 2. 公図によると土地の前方の道路らしきものが私道(実際には道として整備されていない)
- 3. 場所を正確に特定することが難しい(測量されていない、境界標が全くない)
という特徴があります。
このような土地の固定資産税評価額は、広さが300㎡あっても2000円以下です。
宅地であればここまで安価な固定資産税評価額にはなりません。固定資産税評価額が著しく低いことには必ず理由があるのです。
本州の不動産会社などから「土地を売ってくれませんか」と電話がくる?
どこかで手に入れた名簿などが利用されて、北海道の土地なのに、本州にある不動産会社などから「お客様所有の土地を購入させてくれませんか」と勧誘が来ることがたまにあります。
相続手続きを担当する行政書士や司法書士から情報が漏れているのではなく、勧誘してくる会社は、不動産業界のシステム(相続が発生した物件情報をピックアップできる)や名簿会社から情報を手に入れて勧誘しています。
勧誘してくる会社の方は、原野商法で取得してしまった処分に困っている土地であることは全部承知の上で、「家庭菜園や資材置き場として土地を欲しがっている方がいるので、是非仲介を担当させてほしい」などと言ってきます。
この手の勧誘電話は要注意です。なぜなら、逆にその会社へ何らかの料金を支払うことになる場合が多いからです。
不動産仲介会社の収入
宅建業者(不動産会社)が不動産売買の仲介で得られる報酬には、法定上限が決められていて、例えば、原野の売却額が50万円に決まった場合、売主が宅建業者に支払う報酬の上限は、売却額の5%の2万5千円です。
原野商法で取得してしまった土地は、実際には50万円で売るのもなかなか難しいため、結果として10万円くらいで取り引きされることが予想されます。
10万円で仲介が成立した場合に売主が宅建業者に支払う手数料は、法定上限が5%なので高くても5千円です。
5千円の報酬を得るために、本州の不動産会社が北海道の方を手紙や電話で何度も勧誘するとは考えにくいので、売却手数料とは別の名目で多額の利益を得ようとしていることが考えられます。
原野商法の二次被害
原野商法購入者に何らかのお金を出させる手法については、国民生活センターに多数の情報が寄せられています。
原野商法で取得してしまった土地の処理をうっかり勧誘業者にお願いすると、「調査した結果、測量が必要です」「仲介で出しても成約は難しいので、引き取り費用をいただき当社で処分します」などと言われて、結局、お金を支払ってしまうこととなります。
これが原野商法の二次被害といわれるものです。また、原野商法で土地を購入してしまった方の電話番号リストがあるとしか思えず、土地の処理に興味があると示した時点で詐欺の対象としてリスト化されてしまう危険もあります。
詳しくは、国民生活センターのホームページをご参照なさるとよいでしょう。
現時点での原野商法の土地の対策
原野商法で取得してしまった土地の現時点での対策としては、
- 所有者が死亡した時は放置せずに相続手続きをすること(所有者不明土地にしない)
- 甘い勧誘には応じない(詐欺被害防止)
ということが挙げられます。
原野商法で取得してしまった土地(原野)を相続しても、固定資産税はかからないことがほとんどですし、万が一そこに新幹線が開通するなどとなった時には、土地収用(売却)で手放すチャンスがあります。
宅建業者さんとしては、原野商法の土地を仲介するメリットはあまりないですが、適正価格で仲介に出し、数万円で成約することもありますので、お知り合いの宅建業者の方がいれば、仲介してくれるかどうか相談してみると良いでしょう。
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