【遺言を作成した方が良い方】
第24話 息子夫婦の自宅の土地として自身の土地を提供している父
相続・遺言コラム
関係図と事案概要
- 父母と長男夫婦と子供(孫)は同居していたが、母は2年前に死亡
- 土地は父名義、建物は長男名義(札幌市北区の土地の価格は、固定資産税評価額で1000万円)
- 父の財産は、長男に無償で貸している土地と計500万円の預貯金
長女夫婦は結婚して札幌市西区で夫婦の資金でマイホームを建築。その後、長男夫婦が、父母と同居を条件に、父のもともと所有していた札幌市北区の土地(宅地)に長男名義の建物を建築(元の古家を解体し、二世帯住宅を建築)。その後、父と母、長男夫婦は同居を継続。
二女は、独身で大学進学後そのまま東京でキャリアを積み仕事を続けている。
父の相続が発生すると揉めやすい状況になる典型、それぞれの内心
上記の関係図の父が将来死亡すると長男、長女、二女とで遺産分割協議を行うこととなります。しかし、父の土地はすでに長男夫婦の自宅が建築されているため、土地を利用することのできる相続人は、実質的に長男のみとなります。
二世帯住宅を建てる際に土地の利用に関する無償提供のほかに、建築資金の援助もしていることが世間一般では多いため(実際に資金提供をしているかは別として)、長男以外の長女、二女については、「長男夫婦はいつも自分たちよりも金銭的に得をしている(もらってばかりいる)」という印象を持ちます。
土地についても、「札幌市の住宅地をタダで利用しており不公平だ」、長女は「自分の時は、土地も建物も自分たちの資金で行ったのに、長男というだけで優遇されていておかしい」と思うことがあります。
二女としては、「私は親に一切頼らないで一人で暮らしている」、「兄と姉は、同じ札幌市に住んでおり、いろいろと金銭的に恩恵を受けているはずだ」などと考えるケースがあります。
他方、長男夫婦の立場からすると「最期まで両親をみており時間もお金も使っている。長女や二女は自由にいままで暮らしてきたではないか。土地は自分が相続するのが当然だ」と考えます。
この分かり合うことが難しい、相反する内心が、相続が発生すると紛争として発展することが多くあります。
また、今回の事例のように相続財産における土地(1000万円)の割合が高く、預貯金(500万円)の割合が低い場合、紛争が起きることが容易に予想されます。
なぜなら、例えば、均等に分けるとしても分けるお金が相続財産の中から出せないからです。
遺産分割協議の際に、お互いの立場を尊重し、譲り合うことができた場合には、例えば、土地(1000万円の価値)は長男、預貯金は、長女と二女で250万円ずつとすることもできますが、割合としては、 長男、長女、二女で4:1:1となるため、話し合いが決裂することもあります。
公正証書遺言を作成していれば解決可能
今回の事例のように土地の価値の方が高く、預貯金の割合が小さい場合、遺産分割協議をするとうまく合意が取れないことがあります。
しかし、父が公正証書遺言を作成しておいて、土地を長男に相続させ、預貯金の2分の1ずつを長女と二女に相続させるという趣旨の内容にしておけば、不満は多少残るとしてもその通りに手続きができます。
そして、このように分けることを指定したお気持ちを付言に残すとよいでしょう。
付言とは、法律上の効力はないがお気持ちを残すことができるパートです。
例えば、付言には、均等にはできなかったが、このような経緯があったため、理解してほしいというようなことを書くとよいでしょう。その際、取り分が少なくなる方への配慮を込めた文章を書くと伝わることが多いです。
参考記事(付言とは)
生前贈与という方法もあるが
土地が父名義、建物は長男名義という場合には、土地を父から長男に生前贈与して所有権を移転させておいたらよいのではないかとも考えられます。
遺言か生前贈与どちらが良いかについては、ケースバイケースといえます。どちらにすべきか迷ったら一度たまき行政書士事務所にご相談ください。
細かい点は省きますが、生前贈与の方が登録免許税(相続の場合固定資産税評価額の0.4%だが、贈与の場合は原則2%かかる)や贈与税、不動産取得税等多くの税金がかかるケースが多い(ただし、相続時精算課税制度など特例もあり)ため、基本的には、遺言で処理(対策)をした方が良い場合が多いです。遺言によって手続した場合、不動産取得税は免除となります。
まとめ
遺言の相談というのは、インターネット上で探してみるといかに相談すべき専門家がいないかを実感すると思います。遺言に関するホームページを記載していても実際には法律系ウェブライターさんが書いていたり、実際には遺言作成のサポートをあまりしていないがこれから受任したいと考えている開業したての士業であったり、単に自称専門家と名乗る方も混ざっております。
たまき行政書士事務所は、開業以来、遺言・相続専門ですので、年間に多くの公正証書遺言作成相談を実際に行っております。
遺言作成を検討している方、あるいは、親族で遺言を作成した方が良い方がいて本人の相談に乗ってもらいたいというご親族がおりましたら、まずは、たまき行政書士事務所にご連絡ください。遺言作成サポートは、基本的に札幌市内を中心に北海道限定となりますが、どうしても近隣に相談すべき方がいなくてお困りの方は北海道外の方でもお電話、Zoomテレビ会議相談などでご相談をお受けしております。
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