【遺言を作成した方が良い方】
第22話 夫が妻の両親の婿養子に入ったご夫婦で夫婦に子供がいない方(2人とも遺言が必要)
相続・遺言コラム
事案と時代背景
事案をシンプルにするため、想定される婿養子のモデル事例を関係図で示します。
図のように父母が事業や大地主をしていていわゆる名家(めいか)といわれるような場合、名家で生まれた子供が女性のみの場合、姓が途切れないように(名家、家系を残したいがために)結婚した際に婿養子に入れることがあります。
本来、姓だけであれば、女性側の姓を婚姻時に選択するだけでよいともいえますが、昭和中期の頃は、よく女性側の父母と養子縁組をして姓を変えるということがよく行われておりました。
現代では、あまり考えられないことですが、戦前の家制度(長男が全部財産を引き継ぐ)制度の考え方が続いている方(昭和20年から昭和35年くらいまでに子供が出来た方)は、戦後に法体系が男女平等、兄弟姉妹に優劣なしというものに変わっていても考え方が家制度のままで止まっていることもあるため、「うちは娘しかいないから、結婚するならうちの養子に入りなさい。」ということも言われておりました。
問題は50年後位に生じる
このような時代背景で悪気なく本人らのために思って養子に迎え入れたのですが、養子縁組をした後の問題は、50年後位に訪れます。
上記図でいえば、長女と結婚した長女の夫が長女の父母と養子縁組をしたものの子宝に恵まれなかった場合に、どちらかに相続が発生する(死亡する)と大変なこととなります。ちょうど養子縁組から50年後位に生じることもあります。養子縁組を推進した長女の父と母も縁組をした養子(長女の夫)いずれもが全く想定していなかった状況が生じます。
【ケース1】妻が先に死亡した場合
この図で長女が先に死亡した場合、両親死亡夫婦に子供なしのため、法定相続人は、長女の夫と二女の二人となります(いわゆる兄弟姉妹相続事案となります)。
兄弟姉妹相続事案は、配偶者と兄弟姉妹(図でいうと、被相続人の妹)となるため、比較的大変な事例ではありますが、図の状況については、何とか解決はできると思います。
しかし、配偶者と兄弟姉妹というのは、分割協議の調整が難しい事例ですので、遺言(公正証書遺言)を作成しておいた方がよいでしょう。
参考記事
【ケース2】夫が先に死亡した場合 *公正証書遺言作成必須
この図のように長女の夫が死亡した場合、非常に大変なこととなるため、公正証書遺言の作成が必須といえます。以下、具体的に解説します。
長女の夫が死亡した場合の法定相続人は、図の表記でいうと長女(妻)、長女の夫の兄、二女(妹)となります。二女(妹)も法定相続人になるというのがポイントです。
なぜなら、長女の夫は、長女(妻)の夫ではありますが、長女の父と母と養子縁組をしているので、いわば長女側の家庭の弟として入ったこととなり、二女(妹)も兄弟姉妹の一人として法定相続人となります。
細かな話ではありますが、法定相続分については、長女(妻)が妻の地位と、義理姉の地位を併有しているため、その分割合も多くなります。
通常、二女(妹)からすると、姉の配偶者が死亡したときに自分が相続人になるということは予想していないことです。
【ケース3】兄弟姉妹が多人数の場合 *公正証書遺言作成必須
また、仮に、今回とは異なり、こちらの図のように長女(妻)の兄弟姉妹が多人数の場合や、兄弟姉妹の複数人が死亡していたりすると法定相続人が長女(妻)、長女の夫の兄、長男の息子、長男の娘、二男、二女(妹)の6名となりさらに複雑な相続となります。
生前に解決するには公正証書遺言を作成するのがベスト
上記の図2~図4のように相続が発生した後だと、大変な相続手続きが待っていることが確実です。そのため、これを回避し、互いの配偶者を守るために公正証書遺言を作成しておくのがベストといえます。
大まかに内容をいうと、配偶者にすべて相続させる趣旨の遺言を書くのが良いでしょう。上記の図2~図4いずれもいわゆる兄弟姉妹相続事案となり、兄弟姉妹には遺留分侵害請求権の主張ができないため、遺言、特に公正証書遺言を作成すると思い通りの財産の分配をすることができます。
第九章 遺留分
民法(下線は、たまき行政書士事務所で加筆)
(遺留分の帰属及びその割合)
第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
(第2項略)
* (条文解説)民法第1042条1項は、下線のように兄弟姉妹以外の相続人のみ遺留分の帰属があることを示しております。そのため、兄弟姉妹に遺留分侵害請求権はないと解されています。
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たまき行政書士事務所では、公正証書遺言作成のサポートを積極的に行っております。基本的に北海道限定となりますが、どうしても相談したいという方については、東京都の方など本州の遺言相談、公正証書遺言作成サポートも行っております。
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遺言は迅速性を要します。そのため、たまき行政書士事務所でなくても遺言作成に精通している専門家にご相談するとよいでしょう。
お近くの公証役場に直接ご相談にいくのも良いですが、おそらく実際には資料集めやスケジュール調整など長期化することが予想されますので、お急ぎの方は行政書士等の専門家に相談するがおすすめです。
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