相続人の1人が精神疾患を抱えている場合の相続手続きについて
相続・遺言コラム判断能力はあるが精神疾患のある相続人
判断能力は全く問題ないが、統合失調症やアスペルガー症候群などの(うつ病を除く)精神疾患を内に秘めている方がおります。
医療従事者ではないため、医学的な解説はいたしませんが、相続の事例でいうと、計算能力や仕事をする能力は問題ないが、親族との会話のときに合理的な理由のない嘘をついたり、気分にムラがあり昨日と真逆のことを言ったりする相続人の方が稀におります。
そして、そのような方は時に攻撃性を持つこともあるため、喧嘩になり遺産分割の話し合いが進まないということが起こります。
一言で表現すると、相続人に精神疾患を抱えている方がいる相続は非常に難しい手続きになります。
後見人をつけることはできない
判断能力はあるが統合失調症やアスペルガー症候群などの(うつ病を除く)精神疾患を内に秘めた相続人の方は、後見人をつけることができないため、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
例えば、強度の認知症になり判断能力がなくなった状態の方は後見人(法定後見人または任意後見人)をつけることができるため、後見人を遺産分割協議に参加させることで解決します。
後見人は、被後見人の財産的な保護をする必要がありますので、後見人がついている相続手続きも簡単ではないですが、多くの場合、後見人が合理的な判断をしてくださるので、スムーズに遺産分割協議が行われることが期待できます。
これに対して、判断能力はあるが統合失調症やアスペルガー症候群などの(うつ病を除く)精神疾患を内に秘めている相続人の方は、繰り返しますが、その方が直接、遺産分割協議に参加する必要がありますので、合理的な判断をしてもらえない確率が高くなります。
相続人の1人が精神疾患を抱えている場合の相続手続きはどうするか
相続手続きは原則として、遺言書が無い場合は強制的に行うことができないため、あくまで話し合いで解決する必要があります。しかし、統合失調症やアスペルガーなど(うつ病を除く)精神疾患がある相続人の方は、以下のような形で他の相続人の方々を混乱させることがあります。
- 遺産の話し合いをしようとすると「なんでそんなに急ぐの」と怒り出す
- そこに住むわけでもなく管理する能力もないが、なぜか執拗に不動産を相続したがる
- 銀行に相談に行くと、窓口の人に乱暴な言葉を投げかける
- 相続に詳しい専門家を関与させたがらない
- 昨日言っていたことと真逆のことを言うなど、ころころと意見が変わる
- 情報過多になっており、「ネットではこう書いてある」と自分に有利なことばかり話す
- 被害妄想が強く、他の相続人が被相続人の財産を使い込んでいると妄想する
- こだわりが強く、通常引っかからないようなところで気持ちが引っかかるため、相続の話し合いが中断する
解決方法は一概に言えませんが、統合失調症やアスペルガー症候群など(うつ病を除く)精神疾患のある相続人の方の気持ちが安定しているときを見計らって、遺産分割協議をするという方法しかないのではないかと思います。
一度相続人同士で話し合いがうまくいかなくても、1か月後には、なぜかうまくいくということもあります。
ただし、相続の話し合い自体が、皆さま経験がほとんどないことでありますので、どのように進めるかについては、実務経験の豊富な相続の専門家に一度相談するのがよいでしょう。
どこに相談して良いか分からないという方は、相続遺言専門のたまき行政書士事務所(札幌市北区)に一度ご相談いただければ解決の道筋が見えるかもしれませんので、お気軽にご相談ください。
ちなみに、時間をかけても解決しない場合には、
- 自分の代わりに弁護士に代理人となってもらい交渉してもらう
- 家庭裁判所の調停を利用する
という選択肢もあります。
しかし、統合失調症やアスペルガー症候群などの(うつ病を除く)精神疾患のある方は、合理的な判断をすることが難しいことが多いため、弁護士と交渉させても、調停を利用するとしても解決に至ることは少ないかもしれません。
参考HP
相続発生前であれば、遺言を作成しておくこと
精神疾患を抱えている推定相続人(将来相続人となる予定の方)がいるのであれば、事前に(生前に)遺言、特に、公正証書遺言を作成しておくことがお勧めです。
公正証書遺言を作成し、信頼のできる士業などの専門家、あるいは、受遺者を遺言執行者に指定しておけば、遺言執行者が統合失調症やアスペルガー症候群などの(うつ病を除く)精神疾患をもつ相続人を関与させることなく、相続手続きを完結することができます。
将来自分が死亡した場合、遺産分割の話し合いに不安があるという方、あるいは、その相続人の方は、不安を抱えたままにするのではなく、相続の専門家に一度相談してみるとよいでしょう。
相続の専門家に相談すると、今すべきこと、あるいは、できないことがわかり今後の対策の参考になると思います。
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