正確な地番を書いて登記簿を請求しているのに登記簿が出てこない場合もある?
相続・遺言コラムまれに正確な地番で請求しても登記情報提供サービスで出てこないことがある
本日のコラムの本題ですが、正確な地番を入力し登記情報提供サービスで請求しても登記簿が出てこないことがあります。
理由としては、
という2つが考えられます。
電子化されていない地番の場合
電子化されていないことが理由で、登記情報提供サービスで出てこない場合、請求している方の最寄りの法務局でも出ない場合があります。その場合、当該不動産を管轄している法務局まで行き、窓口で請求する必要があります。
具体的には、小樽市の不動産について、電子化していない登記簿を請求したいという場合、札幌法務局小樽支局に出向いて窓口で登記簿を請求し、取得する必要があります。
電子化されているが固定資産税納税通知書に書いてある地番自体が間違っている場合
相続を専門とする当事務所でも1年に1件位の非常に稀なケースではありますが、固定資産税納税通知書に記載されてある地番が間違っていることがあります。
この場合、丁目のところで間違っていることが多いと思います。
例えば、固定資産税納税通知書に記載されている地番が、7丁目34番1となっているのに、登記簿では、8丁目34番1であるというケースです。遺産分割協議書や登記申請の際は、登記簿の記載が優先されます。
このような丁目の不一致が生ずる理由はなかなか深い理由があるようで、税を請求する担当課の丁目区分と登記簿の丁目区分が異なることがあるようです。
実際に固定資産税納税通知書の地番と登記簿の地番が異なっていることを当事務所で発見し、電話で、担当課に確認したところ、税を請求する区分は、登記簿の記載にかかわらず、7丁目となっているので(固定資産税納税通知書の記載自体は)間違ってはいないとのことです。
もっとも、少し不思議ではありますが、固定資産評価証明書(有料)を取得すると登記簿と一致した地番が表記される仕組みとなっております。
固定資産税納税通知書の地番で登記簿が取得できなかったときの解決方法としては、
- ① 固定資産評価証明書を有料で取得する
- ② 周辺の公図を取得して正確な丁目と地番を調べる
の2つがあります。
公図とは、地番の記載されている地図のことをいいます。公図には、丁目の境目に点線が入っておりますので、該当の土地の正確な丁目がわかります。
当事務所では、相続全件について固定資産評価証明書を取得しています
相続登記申請の観点からは、固定資産税納税通知書の原本でも登記申請時の添付書類としては足ります。
しかし、今回の事例のように、地番の丁目部分が正確ではないことが稀にあります。そのため、間違いと財産漏れをなくす観点から、たまき行政書士事務所では、固定資産税納税通知書の原本を確認するだけではなく、固定資産評価証明書と名寄帳を取り寄せ、二重三重の確認をしています。
登記簿の出し方、2つの方法
相続においては、
- 遺産分割協議書に記載する必要性
- 相続登記申請の必要性
から正確な登記簿が必要となります。
登記簿とは、法務局で保管している登記の情報の記録簿のことをいいます。
取り寄せるには、
の2つの方法があります。
法務局で取り寄せる方法
全国各地の法務局の窓口で取り寄せる方法とは、全国各地の法務局の窓口で日本全国の電子化している登記簿を取り寄せることをいいます。
電子化は令和の現在では、あくまで経験上ですが、9割5分以上の登記簿は電子化されているのでほぼすべての登記簿をどこの法務局窓口でも取得できます。
法務局では、郵送対応はしているものの登記印紙の貼り付けや返信用封筒の同封が必要なので、一般の方にとってはかなり難しいかもしれません。(当事務所でも郵送で登記簿を取得したことはありません。)
そのため、多くの方が、法務局の窓口に足を運ぶ必要があります。
法務局で取り寄せる方法の欠点としては、不動産1件あたりの手数料が登記情報サービスに比べ高い(1件600円)ということです。
登記情報提供サービスで取る方法
相続の業務を専門とする行政書士事務所や司法書士事務所、弁護士事務所においては、頻繁に登記簿を取得するため、多くの事務所で登記情報提供サービスが利用されています。
登記情報提供サービスは、登記簿1件当たりの手数料が法務局で取得するよりかなり安く(1件332円)スピーディーに取得できるため、事務所が取得する場合、
- 事務処理が早くなること
- ご依頼者となるお客様に対しても実費請求分が抑えられる
というメリットがあります。
他方、クレジットカードの登録が必要なのでクレジットカードをお持ちでない方やインターネット上のクレジット決済に不安を持つ方は、利用することは困難といえます。
参考
地番を特定して請求
さて、登記簿を取る際には、事前に住所とは別に地番というものを把握する必要があります。地番とは、住所とは異なる不動産一つ一つについている情報です。
まれに、住所と地番が一致していることもありますが、札幌市のような大きな都市については、ほぼすべてについて、住所と地番は一致しておりません。
丁目までは、一致しているのですが、その後の数字が変わります。
例えば、1丁目1番1号という住所があるとすると、地番は、1丁目34番1という風に地番の方が、住所表記よりも大きな桁になっていることが多いです。
住所から地番を調べる方法は、
- ① 管轄の法務局に電話して「地番を教えていただきたいのですけれども・・・」と言って、地番を聞く方法
- ② 管轄の法務局に行ってブルーマップを閲覧して地番を確認する方法
- ③ 所有者の元に4月下旬頃(札幌市の場合)に届く固定資産税納税通知書に記載しているものを見て地番を確認する方法
- ④ 登記情報提供サービスの利用者は、地番検索サービスが利用できるので、インターネット上で地番を確認する方法
の4つの方法があります。
まとめ
今回は、かなりマニアックな内容でしたが、実際の相続では、今回のコラムの事例のように、“正確な地番を入力して請求しても登記簿が出てこない”など不思議なことが多々起こります。
- 登記簿の制度がかなり昔から引き継がれてきている
- 途中で電子化されている
- 役所ごとに事務処理方法が異なる
などが原因として考えられます。
また、銀行の預貯金の相続においても不動産と同じように不思議なことが起こることがあります。
相続でお困りの際は、相続専門の事務所でなければ解決が難しい事案もあります。
相続でお困りの際、
- いくらインターネット上で調べてもわからない
- インターネット上の会って話をすることができない代行業者では無理そうであろう
という案件については、一度、相続専門の事務所に相談してみると良いかもしれません。
もちろん、たまき行政書士事務所でも相続や遺言全般について、ご相談いただけますので、お気軽にご相談ください。
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