【遺言を作成した方が良い方】
第23話 今は独り身だが、かつて結婚をしていて前妻との間の子がいる男性

相続・遺言コラム

実父とは、10歳頃までは1年に数回会っていたが、母(関係図でいうと前妻)が再婚した期に、長男も再婚相手の男性と養子縁組し、家族として暮らしていたため、実父との関係性を絶った方が子供のために良いと母が判断した。そのため、実父と子供は母の再婚後は会うことがなくなって30年位になる

長男が5歳の時に離婚。長男は、両親の離婚から母親と暮らしていた
※ 相談者の財産は、父から相続した札幌市北区の一軒家預貯金計1500万円と自動車1台
※ 相談者は、子供が一人であるため、自分が死亡したら自分の財産は子供に行くわけだから何もしないでも自動的にいくであろうと安易に考えていた

法定相続人は子供で相続権があるとしても簡単に相続するということにはならない

今回の相談者のように、確かに、前妻との間の子がいる場合、子供がすべて相続するので理論的には何もしなくてもよいように思えます。しかし、実務はそう簡単ではありません

① 一人暮らし男性は、死亡したことがわからない

上記の関係図の長男からすると死亡の事実を知ることができるかどうかも定かではありません。独り身男性が自宅で死亡し発見されるのは、数日後あるいは1か月後になることもあります。男性は、一軒家に一人暮らししていても近所の方とあまり積極的に交流をしていないケースが多く、「最近あの方見ないわね」と近所の方の会話に上がることがほとんどありません。実際に発見されるケースとしては、新聞が異常に玄関に溜まっている、外にも強烈な異臭がするということです

これに対して女性の一人暮らしは、私を朝見なくなったら倒れているかもしれないからその時は、ここから入ってなどと近所の方にお願いしていたり、LINEで安否確認を毎日年の近い友人としているなど生存の確認手段をとっていることが男性よりも圧倒的に多い印象があります。

② 長年会っていない父の財産状況は子からすると全くわからない

実父と子が会わなくなって30年以上経過しているというケースだと、実父の生活ぶりもわからないし、借金をしているのかどうかもわかりません。よくある事例としては、①のようにやっと死亡後何日も経過してから発見され、アパートの大家さんが死亡届を出し、戸籍に死亡の記載が付き、固定資産税の未払いが生じたとき(死亡から半年後)位にはじめて固定資産税課(あるいは市民税課)から長男へ死亡の事実が伝わります

たまき行政書士事務所でホームページを見て相談があるのがこの固定資産税の請求が来るタイミングが一番多い印象です

そして、第一報が税金の支払いのお願いだったこともあり、借金はないか、何年も会っていない父の財産の相続はすべきかどうかわからないと相談があります

③ 固定資産税の納税依頼の通知前に警察から連絡があることもあり

今回の関係図のように一軒家にお住まいの方であれば、大家さんや管理人がいません。そのため、アパート大家さんや管理人さんのように死亡届を出すことができる方がいないため、孤独死した実父の死亡の連絡は警察から第一報として、来ることがあります。そして、「あなたは死亡した方の長男ですので、死亡届の提出義務があります」といわれ、死亡届をとりあえず出したものの家を見ただけでは、財産状況が全く分からないため長男は途方にくれるという状態となります。

④ 自宅がきれいに整理されていればよいが、男性は整理整頓されてない場合が多い

男性女性で一概に区別することはできませんが、男性の一人暮らしできれいに片付いているということは、実際にはあまりなく不動産の権利証や通帳の置き場なども定まっていないことがあります。財布に、クレジットカードや消費者金融のカードが入っていたりするとますます長男としては相続してよいのか放棄した方が良いのか、と相続人である子としては、先が見えずに不安となります

公正証書遺言+付言で解決

上記で解説したように30年来会っていなかった実父の相続は、仮に、関係図のように一人相続人であったとしても判断が難しいものです。そのため、確実に財産の収支がプラスであり、長男に相続するメリットがあるのであれば、生前に公正証書遺言を作成し、安心して長男が相続できるようにするのがよいでしょう。

そして、引き受けてくれる方がいればですが、信頼のおける方に遺言執行者に就任してもらうことをお願いしておくとよいでしょう。

最後に、‘‘付言’’を残しておくのも長男がより安心して相続するために効果的です

付言とは、遺言の本文とは異なるもので、法律上の話ではなく感謝の意やお詫びの意を示すことなどができる自由作文の箇所です。

最後に、参考例として公正証書遺言の事例を紹介します。

公正証書遺言の参考例

公正証書遺言 遺言の本旨

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記不動産、預貯金を含む全ての不動産を、遺言者の長男○○○○(昭和○○年〇月〇日生。以下「長男・○○」という。)に相続させる。

 不動産 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 預貯金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第2条 (略)

第3条 遺言執行者を行政書士□□に指定する。遺言執行者に対する報酬は、相続財産の1%とする。

《付言》
 長男○○君には、○○君が5歳のころ離婚してしまい、悲しい思いもさせたと思います。事情により会えませんでしたが、私は○○君のことをずっと大切に思い忘れたことはありません。
(中略)
 私は、借金などはありせんので安心して相続していただければと思います。相続手続きに関しては、行政書士の□□さんに任せておりますのでよく相談して進めていただければと思います。

まとめ

遺言の相談というのは、インターネット上で探してみるといかに相談すべき専門家がいないかを実感すると思います。

遺言に関するホームページを記載していても実際には法律系ウェブライターさんが書いていたり、実際には遺言作成のサポートをあまりしていないがこれから受任したいと考えている開業したての士業であったり、単に自称専門家と名乗る方も混ざっております。

たまき行政書士事務所は、開業以来、遺言・相続専門ですので、年間に多くの公正証書遺言作成相談を実際に行っております

遺言作成を検討している方、あるいは、親族で遺言を作成した方が良い方がいて本人の相談に乗ってもらいたいというご親族がおりましたら、まずは、たまき行政書士事務所にご連絡ください。遺言作成サポートは、基本的に札幌市内を中心に北海道限定となりますが、どうしても近隣に相談すべき方がいなくお困りの方は北海道外の方からもお電話、Zoomテレビ会議相談などでご相談をお受けしております。

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