【その終活間違っているかも!?】
第3話 「自力で自筆証書遺言を作成しよう」と思っている方

相続・遺言コラム

法務局で自筆証書遺言の保管制度もできたし自分で遺言を書いてみるか

国では、相続登記を促す対策として様々な施策を10年位のスパンで取り組んできました。その一つが、自筆証書遺言の保管制度です。

遺産分割でもめることなく、自筆証書遺言によって不動産の帰属を指定してあげれば、より相続登記の手続きをしてくれる確率も高まるだろうとのことから始められました。

ただし、法務局の自筆証書保管制度は、あくまで自筆証書遺言であり、公正証書遺言とは異なるため注意が必要です。また、法務局の自筆証書遺言保管制度のメリットは発表されておりますが、デメリットについてはあまり書いていないため慎重に行うことが必要です

自筆証書遺言によってかえって相続手続きが難しくなる事例

1. 自筆証書遺言無効の調停を提起されるリスクが高い

自筆証書遺言は、自分の字で書くことでその文書の信頼性が高まるとして大昔に考えられた制度です。代わりに誰かが書くとその時点で無効となります。

ただし、自筆証書遺言は本人が書けばそれでよいというわけではなく、

  • 誰かに強制され書かされている可能性
  • ② 本人は書いているのは間違いないが、認知症などで本人の自覚なく書いてしまっている可能性
  • ③ 他人がなりすまし本人の自体っぽく書いてしまう可能性
  • ④ 本人が書いているが手を添えて書かれ、手を添えた人の意図通りの遺言を書いてしまっている可能性

などその信頼性を失う要素が多数内在します。

遺言は多くの方が後期高齢者の年代に入ってご病気や体調不良を感じたころ書くため、遺言によって不利益を受ける側(法定相続人であるのに、何も遺贈されないなど)からすると常に①~④の可能性を感じます。

したがって、自筆証書遺言は、無効確認を求める調停が行われるリスクが高い遺言の形態となっております

一度、無効確認を求める調停がなされたことがわかると、金融機関としては、紛争性があり解約払い戻しをしてしまうと、損害賠償のリスクがあるため、紛争が解決するまで、遺言によって銀行手続きを進めるのはできなくなります

また、「私の知らないところでこんな遺言を書かせて、許せない!」などと相続人同士で仲が悪くなり、調停は成立しない(無効かどうかの判断がつかないで終わる)ことがあります

結局、遺言を使った相続手続きを断念し、仲が悪くなった相続人同士で話合いが長期化し、お互い譲らない遺産分割協議となり、最終的に合意に達したとしても後味の悪い結果となります。

場合によっては、その後、兄弟もう口も利かないという状態となります

2,自筆証書遺言は内容の不備が多い

内容の不備が多いとタイトルに書きましたが、相続手続きの実務を行っている感覚ですと、ほぼ100%内容に不備があります

まず、① もっとも多い内容の不備の例が遺言執行者の指定の記載がないことです。遺言執行者の指定のない遺言は、かなり苦労します。特に、銀行の解約手続きで苦労します

遺言執行者の指定の記載がない場合、原則として遺言執行者の選任の申立てというものを家庭裁判所に提出する必要があります。遺言執行者候補の方が必ずしも遺言執行者になれるわけではないので、提出するだけでなく家庭裁判所の判断を受ける必要があります。

そして、仮に、弁護士などの方が遺言執行者に指定されると遺言執行者の報酬を支払う必要があります。

無事に、遺言執行者が選任されたとしても、家庭裁判所を経由する手続きになるため、遺言執行者が銀行の解約手続きをするまでに、数か月かかりその間預金の解約払い戻しを受けることができません

また、銀行によっては、受遺者(遺言によって銀行預金を取得することになる方)が手続きをすることに同意する書面を相続人全員に求めることもあります。

この同意書面は、集めることは事実上期待できない(手続きに遺言によって不利益を受ける方は協力する必要性がない)ため、やはり遺言執行者選任の申立てを行う形になります。

次に、② 内容の不備として多いのが、内容があいまいであるということです。例えば、‘‘私の妻○○に私の財産のすべてを相続させる’’という内容であれば、100点満点の記載内容といえます。

しかし、自分で考えて書いた結果あれこれと相続人を思いやる感情が湧いてきて、「仲良く分けてほしいと思います」という言葉を本文に入れたり、「北海道銀行の○○支店口座番号123456」と7桁のところ6桁で記載するという、一桁少ない口座番号を書いてしまうミスをする、あるいは、ゆうちょ銀行の貯金もあるのに、「預金を半分ずつ分けてほしい。」と範囲が特定できない場合など、数えるときりがありません。

法務局の新制度(自筆証書遺言保管制度)を使っても自筆証書遺言には変わりない

自筆証書遺言を作成した場合のリスクを書いてきましたが、これは、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用したとしても全く同様の話となります。法務局に保管している自筆証書遺言がより信頼性が高まり金融機関での扱いが変わるかというとそうではありません

自筆証書遺言保管制度のメリットは、いまのところ家庭裁判所への検認が不要、紛失リスクがないというこの二点のみではないかと思います。

ただし、実務家からすると自筆証書保管制度も自筆証書遺言であることに変わりないため、現状の制度ではおすすめはできません

安心の遺言を作成するなら公正証書遺言

せっかく終活の一環として遺言を作成すると決めたなら、根本的に相続問題をなくするよう工夫する必要があります。その一つは、公正証書遺言を作成するということです。公正証書遺言であれば、上記で解説した遺言を無効とされるリスクがほとんどありません

相続手続きを年中行っている実務家の観点からすると金融機関での対応も、公正証書遺言の方が、圧倒的に信用性が高いものとして扱われます

公正証書遺言は最終的には、公証役場で公証人の認証を受けるのですが、実際に公正証書遺言を作成するには、

  • ① 直接公証役場に行って作成する
  • ② 当事務所のように相続・遺言を専門としている行政書士などに遺言作成の相談をし、遺言の原案を作成し、公証役場で作成をする(行政書士がお客様と公証人の間に入りスムーズに公正証書を作成する)

という2つの作成方法があります。

遺言を書いた方がよいと思ったらまずは相談を

行政書士 田巻 裕康

遺言を作成するなら、遺言の実務に携わった経験のある事務所に相談するのが良いでしょう。当事務所のある札幌市内や札幌圏のお客様あるいは、北海道内の方は行政書士の田巻が直接お話をお伺いにいきます

たまき行政書士事務所では、ご希望の方に相続や遺言、不動産、終活のご相談を無料で行っております。一度、実務家の観点からアドバイスしてほしいという方がおりましたら、お電話メールラインにてお気軽にお問合せください。

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