相続の際、株式数比例配分方式の配当の扱いはどのように行われるか
相続・遺言コラム証券会社内で完結する株式数比例配分方式
株式数比例配分方式(実務では“比例配分方式”と略すので、以下「比例配分方式」。)は、端的に表現すると、配当金が証券会社内で完結する方式のことをいいます。
これに対し、従来方式による配当の分配方法は、株主名簿管理人となっている信託銀行等が、配当金を管理し、分配するものをいいます。
比例配分方式の具体的な流れ
比例配分方式とは、従来方式とは異なり、証券会社に保有されている株式の配当金が発生すると、証券会社の預り金口座に入る仕組みの配当分配の方式です。
配当金が発生すると、従来は株主名簿管理人となっている信託銀行等の管理人が、口座名義人(利用者個人)の銀行口座に直接振り込みをしたり、ゆうちょ銀行の配当金領収証(ゆうちょ銀行で換金できる金券のようなもの)などで配当金を支払っていました。これを従来方式と呼びます。
従来方式は、配当金の受取り忘れや、換金期日の期限切れなどがあると手続きが煩雑になるので、相続実務でも非常に大変な手続きです。
これに対し、比例配分方式は、配当金が発生すると同じ証券会社内でシンプルに処理されるので、利用者は受取りを忘れずに済みます。また、比例配分方式で受け取る配当は非課税となるメリットもあります。
そこで、現在では、証券会社各社は比例配分方式を積極的にお勧めしております。
参考記事
相続における比例配分方式と従来方式の比率
相続時に扱う口座は、保有者が70歳以上であることが多いので、従来方式の方が圧倒的に多い印象です。当事務所の感覚でいうと8割位が従来方式、2割程度が比例配分方式といった割合です。
おそらく、数年前から株式投資を始めた方のほとんどは、証券会社に比例配分方式を勧められて、その通りに比例配分方式で契約していると思いますが、70歳以上の方は、比例配分方式の無い時代から投資をしていることが多く、切り替えが面倒であるため従来方式のまま証券会社と契約をしている方も多いです。
切り替えが面倒というのは、比例配分方式を採用するには、信託銀行等に特別口座を持っていない、全銘柄比例配分方式にしなければならないという条件があるからだと思います。
「信託銀行等に特別口座を持っている」とは、信託銀行で株式を保有しているということです。
※ かつて、信託銀行で株式を保有できる時代があり、現在は、証券会社でのみ株式を保有する形となっています。
また、従来方式は、配当を自分の口座や配当金領収証という金券で受取るため、年に1回から2回お小遣いを受取るような楽しみがあるというのも、比例配分方式に移行しない原因であると思います。
(発展編)比例配分方式の場合、相続ではどう処理されるか
比例配分方式の場合、基本的に未受領配当金というものが発生しない仕組みとなっておりますが、例えば、配当基準日と、配当が実際に処理される日の間に証券会社の口座を解約すると、未受領配当金が発生することがあります。
しかし、未受領配当金が発生しても、比例配分方式の場合は、被相続人の株式等を相続した相続人に、証券会社から配当のお知らせがきます。
そのため、被相続人の株式を相続した相続人の方は、自身の名前で案内の来た配当金を受け取ることができるので、簡単に配当金を相続できます。
手続き代理人にとっても比例配分方式か従来方式かで事務作業量が変わる?
証券の相続の相談でお客様に事務処理の流れを説明すると、その煩雑さに驚かれます。
お客様とご相談時には、配当方式が比例配分方式か、従来方式かはわかりませんので、相続手続き代理人として行う行政書士としては、基本的に大多数の方の方式である従来方式の説明をし、従来方式であるという前提で調査を開始することになります。
そして、実際、配当の調査を証券会社や信託銀行等にかけていくと、途中で比例配分方式だと分かることもあります。比例配分方式だと事務処理がシンプルになりますので、行政書士としても事務処理が少しだけ減り、調査が早く完了します。
比例配分方式は、口座名義人にも、相続人にも、事務手続き代理人にもやさしい制度であると思います。
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