【その終活間違っているかも!?】
第4話 認知症対策のために家族信託を考えている方
相続・遺言コラム
終活の基本とは
終活の基本は、物や契約、権利関係を将来の相続発生に備え、遺されたご家族のためにシンプルにしていく作業であると思います。
例えば、家の物置を整理する、数百円しか入っていない通帳を解約するなどです。
ところが、物事をシンプルにするどころかより難しい複雑な制度を提案する終活関連業者の方も存在します。
複雑な制度の典型例の一つは、家族信託ではないかと個人的には思います。
家族信託とは
家族信託とは、簡単にいうと、金銭や不動産の所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産の管理や運用を任せるという制度です。受託者は、委託者の利益のために基本的に無償で役務を提供します。民事信託という制度に家族信託とネーミングして民事信託を推進している団体がいることから家族信託という言葉が普及しました。
ただし、この家族信託の制度を正確に把握しているお客様はほぼいないのではないでしょうか。
家族信託の典型例は、将来の認知症対策の一環で提案されます。不動産オーナーが長男に大家業を任せるというものなどです。
家族信託の問題点
家族信託の提案業者は、家族信託のメリットを中心に解説し、お客様はなんとなく素晴らしい制度だと思い契約してしまうのですが、私見としては、問題点が多く残るように感じます。
この家族信託の最大の問題点は、所有権がはっきりしないことです。所有権がはっきりしないものを、所有者ではない方が範囲は限定されているものの自由に管理運用することには問題があり、後で、トラブルになる可能性があります。後でトラブルになる可能性があるというのは具体的には、相続の発生時(委託者の死亡時)です。
家族信託は、委託者が認知症になり判断能力がない場合でも、受託者が資産を運用できるため、受託者にならなかった相続人との間で揉めることが予想されます。
終活というのは、遺されたご家族が後で揉めないようにすることも大切であるため、家族信託のように複雑な制度を取り入れるというのは間違った終活といえるのではないかと個人的には考えております。
どうしても家族信託という制度を利用したい場合にはよく質問をすべき
たまき行政書士事務所でも、家族信託という制度について時間をかけて導入してよいか検討しましたが、自信をもってお客様におすすめできる制度ではないと判断し見合わせました。
もっとも、家族信託を全面的に否定するものではありませんので、ご興味をお持ちの方は、
- 相続発生の際に問題とならないのか
- 税の問題はクリアできるのか
- 税の処理は複雑にならないか
- 運用コストはどのくらいかかるか(家族以外に専門家の助けが必要な制度か)
など家族信託を導入した際のリスクやデメリットについて、家族信託を提案している事務所の方に聞いてみるとよいと思います。
家族信託を設定しなければいけない状況は実際にはほぼない
相続と遺言が専門のたまき行政書士事務所では、様々な生前の対策についてご相談をお受けしますが、家族信託を採用しなければならないような事案はほぼありません。
家族信託が適用になるようなケースでも当事務所では、家族信託を進めることは基本的にありません。
では、認知症対策や財産管理について、家族信託以外の方法はあるのかというとあります。安定的な運用が期待でき、権利関係も複雑にならない契約があります。具体的にいうと、認知症になった時の対策については、委任契約および任意後見契約(移行型)というものがあります。導入費用については、家族信託の4分の1程度でできます。
例えば、子供のいない叔父の面倒を見ている甥っ子の方に金銭管理を任せたいとのご希望がある場合には、委任契約及び任意後見契約(移行型)が適しているといえるでしょう。
委任契約及び任意後見契約(移行型)とは、大まかに説明すると身の回りの契約ごと、事務処理、金銭管理を委任者(叔父)が受任者(甥っ子)に任せるというものです。
判断能力が問題ないときには、委任契約で行い、判断能力が著しく低下した際には、任意後見契約に移行します。費用については、公証役場の手数料や、原案を作成する行政書士の報酬を合わせても10万円ほど(たまき行政書士事務所)です。
どのような終活をすればよいのか迷ったらご相談ください
終活といっても、お客様のおかれている状況はそれぞれです。そのため、どのような終活をすべきかについては、相続や遺言、不動産についての知識を幅広くもっている専門家に聞くのが良いと思います。
たまき行政書士事務所では、札幌市内や札幌圏のお客様あるいは、北海道内の方は行政書士兼宅地建物取引士の田巻が直接お話をお伺いにいきます。
たまき行政書士事務所では、ご希望の方に相続や遺言、不動産、終活のご相談を無料で行っております。一度、実務家の観点からアドバイスしてほしいという方がおりましたら、お電話、メール、ラインにてお気軽にお問合せください。
参考記事
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