公正証書遺言を作成する際に公証役場に提出する資料について実際に起こりうる遺言事例を挙げ、具体的に解説します
相続・遺言コラム必ず用意すべきものは、遺言を作成する方の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)です。
その他の資料については、財産状況や受遺者(遺言によって財産を受領する人)が誰かによって異なります。
公正証書遺言を作成する際に、原本提出が必要な資料
公正証書遺言を作成する際には、基本的に根拠資料として、様々な資料が必要とされます。
ただし、原本提出が必要なのは、遺言を作成しようとする方の戸籍全部事項証明書(いわゆる戸籍謄本)のみです。
その他は、担当の公証役場により若干異なりますが、PDFにしたデータの提出で済むことがあります。緊急のとき(本人が数日以内に死亡する可能性があるとき)は、戸籍以外の資料が何もなくても公正証書遺言を作成できることがあります。
例えば、「私の配偶者に私の財産のすべてを相続させる」というシンプルな遺言にすれば、根拠資料は、戸籍全部事項証明書の他は不要となることがあります。
ただし、相続発生後の手続きに備えるため、あるいは、信用性を強化するためなどの理由で、財産の具体的な記載と、根拠資料が原則として必要となります。
公証役場は、公証人のいる役所の一種で、役所で作成する書類である以上、根拠となる資料を参照しながら作成するのが通常となります。
公正証書遺言を作成する際に、揃えなければならない具体的な資料
遺言者の情報
- 80歳男性、認知症の妻(80歳)、同居の長男、音信不通の二男がいる。
- 財産は、自宅不動産(札幌市北区篠路)、預貯金3行(計1500万円)
- 妻は認知症で金銭管理能力がないため、自分が死亡した後は、同居の長男に財産をすべて渡したい。二男は、20年以上音信不通でどこに住んでいるのかもわからない。
- 仮に、遺言を作成せず死亡し、相続人全員による遺産分割協議になった際に、全員が話し合いの席に着くということは考えられず、遺産分割協議が成立しないことが予想されるため、公正証書遺言を作成することにした。
- 同居の長男は、長男の妻と子供(遺言者の孫)も一緒に住んでいるので、長男に全部相続させることにした。
上記の具体例から必要とされる資料
- 遺言者の戸籍全部事項証明書(いわゆる戸籍謄本)1通
- 自宅不動産(札幌市北区篠路)の土地建物の登記簿謄本と固定資産評価証明書
- 預貯金の口座がわかる部分のコピー(公証役場によっては、財産額がわかる部分のコピーも)
- 長男の戸籍全部事項証明書(いわゆる戸籍謄本)1通
以上の5点が基本的に、公証役場に提出が必要な根拠資料となります。
根拠資料の提出の際に必要な根拠資料の基本的な考え方5点
公正証書遺言に登場する人物は、戸籍全部事項証明書(以下、単に、「戸籍」と省略します。)が必要です。
⇒人物を証明する資料は、戸籍が基本となるからです。
細かい話をすると、登場する人物が遺言者の推定相続人である場合(相続させる場合)、戸籍のみで大丈夫ですが、登場する人物が推定相続人でない場合(遺贈となる場合)、戸籍の他にその人物の住民票、あるいは、戸籍の附票(本籍、筆頭者の記載あり)など住所を証明する資料が必要です。
財産の中に不動産がある場合には、不動産の登記簿謄本(全国各地にある法務局で取得できます。)、固定資産評価証明書(札幌市の場合、各市税事務所が発行してくれます。今回例に挙げた札幌市北区篠路の場合、札幌市税事務所北部市税事務所が担当となります)が必要です。
参考
預貯金の口座の情報を記載する場合、預貯金口座の情報がわかる部分のコピー(通帳の一枚ページをめくったところ)が必要です。
公証役場の手数料は、全体の財産額と財産をどう分けるかにより計算されますので、財産額がわかる資料が必要です。不動産でいうと、固定資産評価証明書で足ります。預貯金は、常に動くため、厳格に金額を示す必要はないのですが、遺言を作成する時点での残額についての申告が必要となります。そのため、預貯金通帳の最後のページのコピーを要求されることもあります。
本人確認資料として、遺言者の印鑑登録証明書1枚(3か月以内の発行日付入り)が必要となります。
但し、顔写真入りの運転免許証や、マイナンバーカードがあれば、運転免許証やマイナンバーカードの原本と認印の持参で大丈夫です。
遺言者が直接公証役場で遺言を作成に行く場合と、行政書士や弁護士などに依頼するときの違い
遺言者が直接公証役場で遺言を作成する場合
遺言者(遺言を作成しようとする方)は、自分の財産についての申告ですので、すべての資料を委任状がなくとも自力で取り寄せることができます。
上記で解説した資料を取り寄せて、公証役場に持参をします。
ただし、普段役場に行くことが慣れていない方の場合(市役所勤めが長かった方以外は、ほとんどの方が、慣れていない方に該当すると思います)、なかなか資料集めに時間がかかる場合があります。
- 1. 公証役場に電話で予約をして、公証役場へ相談にいき、公証人と面談する
- 2. 必要とされる資料を自力で揃える
- 3. 公証人が原案を作成したら、連絡が入り、公証役場にて打ち合わせる(30分~1時間程度)
- 4. 時間が限られているため、複数回面談することが多い
- 5. 予約を入れた日時に、公証役場にて公正証書遺言を作成する
行政書士に公正証書遺言の作成サポートを依頼する場合
* たまき行政書士事務所の場合を想定
- 1. (遺言作成に精通している)行政書士とご自宅にて面談をし、公正証書遺言作成を依頼する
- 2. 行政書士がご依頼者から委任状をいただき根拠資料すべてを集める(印鑑登録証明書については、基本的に本人に取得していただきますが、印鑑カードをお渡しいただければ、行政書士が代理人として取得することもできます)
- 3. 行政書士が遺言原案を作成し、ご自宅にて打ち合わせる(時間無制限)
- 4. 行政書士が公証役場の公証人と打ち合わせ、状況説明、内容の確認をいたします
- 5. 行政書士が日程を調整し、公証役場あるいは、ご自宅にて公正証書遺言を作成する(30分程度で完了)
* 初回相談から公正証書遺言完成まで通常1か月程度。健康に不安がある方の場合には、可能な限り短期間で作成します(死期が間近に迫っていた方で、1週間以内で完成したこともあります)。
まとめ
全国にある公証役場の公証人によって若干運用方法は異なりますが、基本的には公正証書遺言の作成の手順は同じであるため、今回のコラムを参照いただけますと幸いです。
特に、札幌市あるいは北海道内で公正証書遺言をご検討されている方、あるいは、ご家族様については、一度相続遺言専門のたまき行政書士事務所にお気軽にお問合せください。
参考記事
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