戸籍や印鑑登録証明書の有効期限について
相続・遺言コラム有効期限は6か月以内?それとも3か月以内?
銀行などの金融機関が発行している相続手続きのご案内書類には、戸籍や印鑑登録証明書の有効期限について2パターンの記載があります。一つ目は、“発行から6か月以内”というパターン。もう一つは、“発行から3か月以内”というパターンです。
数でいうと、発行から6か月以内を有効期限とする金融機関が多いです。
しかし、すべての戸籍や印鑑登録証明書の有効期限が6か月以内かというと必ずしもそうではありません。今回のコラムは、戸籍と印鑑登録証明書について分けて解説してみたいと思います。
戸籍について
戸籍は、(昭和)改製原戸籍、(平成改製)原戸籍、除籍、現在戸籍(戸籍全部事項証明書)と名称がいろいろあります。
その中で、発行から6か月以内のものを要求される可能性の高い戸籍は、現在戸籍です。
なぜなら、例えば、若い方でも6か月後には死亡する可能性があるように、現在戸籍は短期間の内に記載内容が書き換わる可能性があるからです。
その一方、(昭和)改製原戸籍、(平成改製)原戸籍、除籍については、基本的に何年経っても記載内容に変化がないので、発行から6か月以内のものを要求される可能性は低いです。例外的に、錯誤や、高齢者職権消除などの理由でのちに戸籍の記載に変化が生じる可能性はゼロではありませんが、戸籍自体がすでに閉鎖されているので新しい発行日である必要性は乏しいといえるため、期間を制限する必要性がないのです。
このように原理原則から判断すると、すべて一律に発行から6か月以内の戸籍を集める理由がありません。
よって、戸籍は、現在戸籍のみ発行から6か月以内のものを求められるというのが主流といえるでしょう。
なお、印鑑登録証明書は、発行から3か月以内のものを求められることもあります。
印鑑登録証明書について
銀行などの金融機関は、発行から6か月以内のものを求めることが多い
戸籍については、先ほどの解説のように、現在戸籍のみ発行から6か月以内のものに限定されますが、発行日の制限はそれほど厳しくありません。
これに対し、印鑑登録証明書は、長くても発行から6か月以内のものに限られるのが通例です。
理由としては、印鑑登録証明書は、本人確認の性質も兼ねるからです。
印鑑登録証明書はだれでも発行できるものではなく、基本的に印鑑登録カードの所持者にしか発行できないので、金融機関は、新しい発行日の印鑑登録証明書によって、署名押印の信頼性を確認しているのです。
そのため、印鑑登録証明書は、発行から6か月以内という厳しい有効期限が設けられています。
北海道の代表的な銀行だと、ゆうちょ銀行と北洋銀行は発行から6か月以内となっております。
北海道銀行は、発行から3か月以内となっております。
ただし、例えば、相続人が非常に多いなど、全員分の印鑑登録証明書を集めるのに時間がかかるようなケースでは、有効期限を少し過ぎたくらいで一律に無効となるわけではありません。有効期限を少し過ぎた程度であれば、使えるかどうかを該当の金融機関に直接聞いてみるとよいでしょう。
不動産の相続登記の場合は、印鑑登録証明書の有効期限はない
金融機関の相続手続きに使う印鑑登録証明書には、必ず有効期限(発行から3か月または6か月)がありますが、不動産の相続登記の場合は、有効期限がありません。
私が関わった案件では、発行日が15年以上前の印鑑登録証明書でも添付書類として認められたので、実質、無期限であるといえます。もちろん、遺産分割協議書の押印と印鑑登録証明書の登録印が一致している必要はあります。
期限に制限がない正確な理由はわかりませんが、不動産登記においては、制度上そのようになっております。
相続のご相談はお気軽に
今回は、相続手続きで提出する、戸籍や印鑑登録証明書の有効期限についてコラムを書いてみましたが、相続全般について相談したいというお客様は、相続遺言専門のたまき行政書士事務所までお気軽にご相談ください。