多数の農地の相続と原野商法で取得してしまった原野の相続について
(依頼者:厚真町在住女性)
相続の解決事例
事案
東京に住む依頼者のご子息の方から、実家の北海道厚真町の相続についてご相談があり、まずはお電話でお受けしました。その後、厚真町に家族が集まっているときに行政書士が訪問相談に行き、後日、正式にご依頼をお受けしました。
- ① 20を超える多数の農地があること
- ② 登記されていない建物(いわゆる未登記建物)が存在すること
- ③ 登記されているが、すでに滅失している建物(実態はないが、登記のみ残存している建物)があること
など、調査をしていく上で新たに判明することが多くあり、比較的難しい相続事案となりました。
また、厚真町の相続が完了した頃、古い土地の登記簿が出てきて、
- ④ 札幌市北区に原野を所有していること
が判明したので、札幌市北区の原野の相続手続きを行う必要も出てきました。
解決までの手順
相続手続きを担当する者としては、解決までの手順を俯瞰で捉え、複雑に絡んだ事案をひも解きながら最短距離で解決していく必要があります。
当事務所にご相談のある相続事案は、地元の専門家に相談してみても、「複雑で手に負えない」と言われ暗に断られてしまうような事案も多くあり、今回の事案も相続に精通している事務所でないと難しいものでした。
① 20を超える多数の農地があることの解決手順
農業や酪農を行っていた方は、20を超える筆数の農地や原野、あるいは雑種地が混合している広大な土地を所有していることがよくあります。
農地の相続での注意点は、主に次の2つです。
- ⅰ. 相続登記漏れをなくすこと
- ⅱ. 相続後、農地法3条の3第1項の届出を忘れずに出すこと
簡単に説明すると、農地を相続した方は、農業委員会に「農地を相続しました」という届出を出す必要があります。
今回は相続登記漏れをなくすため、名寄帳という資料を厚真町に発行してもらい、さらに公図を基に周辺の登記簿も手作業で取得することによって登記漏れを無くしました。
また、農業委員会への農地法3条の3第1項の届出も、ご依頼主を通して提出してもらいました。
② 登記されていない建物(いわゆる未登記建物)が存在することの解決手順
銀行などから借り入れをせずに現金で建物を建てると、多くの場合、未登記建物の状態となっております。保存登記の費用を節約するために昔はよく行われておりました。
今回の事案でも農地の上に未登記建物があることが判明したため、未登記建物の所有者変更届を郵送で取り寄せて、遺産分割協議書とともに厚真町に提出しました。
③ 登記されているが、すでに滅失している建物(実態はないが、登記のみ残存している建物)があることの解決方法
土地の登記簿の他に建物はないか、登記簿を手探りで取得している最中に、厚真町の名寄帳にはない建物の登記簿が出てきました。ご依頼主に聞くと、その建物は確実にないとのことでしたので、そのままにしておくのではなく、建物滅失登記をすることをおすすめしました。
行政書士の方でも現地確認をしたところ、確かに該当の建物はなかったので、ご依頼主自身で建物滅失登記をしてもらうことにし、無事、登記簿上も建物を滅失させることができました。
建物滅失登記は表題登記の部分のため、行政書士でも司法書士でもなく、土地家屋調査士という方の業務分野なので、行政書士が行わずにお客様自身で申請してもらい、解決に至りました。
④ 札幌市北区に原野を所有していることの解決手順
今回のように多数の土地を所有している方が死亡すると、その他の土地が出てくることも考えられます。そのため、遺産分割協議書の記載は、いわゆる遊びをもたせた表現にしております。今回も当事務所で作成した遺産分割協議書には、「以下を含む被相続人の不動産のすべてを○○が相続する。」と記載しておきましたので、厚真町の不動産以外の土地である札幌市北区の原野についても、同じ遺産分割協議書を利用して相続登記をしました。
その後、当該土地はいわゆる典型的な原野商法で購入してしまった土地であることが判明しました。このような土地は通常通りの値段では売れないのですが、1万円でもいいから売ることはできないか、隣地の方に贈与できないかを探るため、当該土地を見に行くことにしました。
当該土地は他人に占領されていて現場まで行くことができず、売却や贈与はできませんでしたが、当事務所では現状をできる限り伝え、保有しておくしかない旨を説明しご納得いただきました。
まとめ
今回は、問題がかなり入り組んでいたので、初回のご相談から問題がすべて解決するまで約5か月かかりましたが、権利関係をきれいにして相続手続きができたので良かったと思います。
参考記事
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