2件の兄弟姉妹相続事案が続いた事案
(相談者:小樽市女性)

相続の解決事例

事案

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独身でかつ子供がいないご兄弟の一人(一人目の被相続人)が死亡し、その2年後、もう一人の独身でかつ子供がいないご兄弟の一人(二人目の被相続人)が死亡した相続事案です

被相続人には比較的、大人数の兄弟姉妹(甥も含む)がいましたので、相続人の数は10人近くになりました

今回の相続人は、他の兄弟姉妹相続事案と同様に、兄弟姉妹(甥も含む)全員に交流があるわけではなく、20年位連絡を取っていない兄弟姉妹も含まれておりました

もっとも、今回、お亡くなりになった被相続人は、お二人とも不動産を所有しておらず、預貯金のみの財産構成でしたので、不動産を誰が取得するという複雑な問題はない事案でした。

【1件目の相続事案】相続人の一人の書類返送がなかったケース

戸籍収集~相続人確定~財産調査~遺産分割協議案の検討まで

順調に戸籍を収集し、収集した戸籍の数は40通を超えました。相続人が確定し、その後、法定相続情報一覧図を作成し法務局で認証をしてもらい、預貯金の財産調査を順調に進めていきました。

財産目録が作成できた後、ご依頼者とご相談し、遺産分割方法のアドバイスをさせていただきました。

ご相談の結果、今回の相続については、ご依頼者が遺産をすべて相続するようにしたいとのことでした。

その背景としては、被相続人の死亡後にかかる費用(葬儀費や親族へのお車代)を差し引くと、それほど財産は残らず、分配するような額でもないという事情を、相続人の多くが理解しているというものでした。

ただし、何人かの相続人とは、一人が相続するという方針について全く話ができていなかったので、電話で連絡が取れていない相続人については、書類を送っても返送されない、あるいは、分割方針の案に反対される可能性は残りますとお伝えしておきました。

遺産分割証明書の送付~返送されない

遺産分割証明書(遺産分割協議書の一種)を相続人全員に一斉送付したところ、相続人の一人を除き、署名押印された遺産分割証明書と印鑑登録証明書が返送されてきました。

相続手続きは、一人の書類が欠けているだけでも、預貯金等の解約手続きを進めることができません

そこで、書類を返送いただけていない相続人の方のご自宅を、比較的近くに住んでいる親族の方に数回訪問してもらいましたが、なかなか会うことができない状況が続きました。

遺産分割証明書を返送いただけるように、数か月間、親族の方が様々な角度から依頼をかけましたが、書類が返送されることはありませんでした。

遺産分割証明書が揃わない場合の対処

遺産分割内容に納得がいかないなどの意思表示をしている方がいて、遺産分割証明書が揃わないというのであれば、家庭裁判所を利用した調停~審判の解決方法となります。

しかし、今回のように単に書類を返送してこない、生死すらはっきりとわからないという方の場合、調停を申し立ててもそもそも調停に参加してくれませんので、家庭裁判所を利用した調停等の解決方法は、適切な解決方法とはいえません

今回のような書類が揃わないケースでは、現行の制度では、預貯金の仮払い制度を利用するのが適切だと思われます

今回は、預貯金の仮払い制度にご協力していただける相続人の方々から、預貯金の仮払い制度によって法定相続分の3分の1に当たる額を解約するための委任状をいただき、預貯金の仮払い制度を利用して、ご依頼者に預貯金を送金することができました

これによって、葬儀代や専門家に支払う報酬くらいは賄うことができました。

【2件目の相続事案】1件目の相続事案で書類返送がなかった方(二人目の被相続人)が死亡

戸籍収集~相続人確定~財産調査~遺産分割協議案の検討まで

1件目の相続事案の時、書類を結局返送することがなかった相続人の一人(独身、子供なし)が死亡した旨の連絡が、親族からありました。

二人目の被相続人は、一人暮らしのため発見が遅れ、いわゆる孤独死をしていた状況です。1件目の相続事案の時から2年ほど経過していましたが、もしかすると2年前も体調が悪かったのかもしれません。

戸籍収集は、1件目の相続事案で収集したものを再利用できるものがありましたので、お客様側の費用負担を軽くするため、再利用できるものは再利用して相続人確定をしました。

財産は預金のみでしたが、役所の通知からして、年金のみを頼った暮らしであったことが予想されたため、孤独死で発見が数か月遅れたことによって、死亡後入りすぎていた過払い年金を返却する必要がありました

財産調査をすると、過払い年金が少なくとも40万円以上入っていることが予想されましたので、遺産分割証明書は、代表となる相続人一人に預金を相続させ、その後、お住いの自治体に年金を返却するという流れとしました。

遺産分割証明書の返送と預金解約について

遺産分割証明書と印鑑登録証明書が相続人全員から届きましたので、過払い年金の入っている預金を解約しました。解約して入ってきたお金は、過払い年金の支払いにあてました。

1件目の相続事案の再処理

1件目の相続事案で書類返送がなかった相続人(二人目の被相続人)が死亡して、結果として、相続人全員が遺産分割証明書を返送できる状態となりましたので、1件目の相続事案で、預貯金の仮払い制度で3分の1程度引き出した後の残額、3分の2の解約に進むことにしました

特に追加料金などはいただかず、残額の相続手続きを行いました。

預貯金の仮払い制度は、専門家(行政書士や司法書士)の間でもまだほとんど利用されていませんが、当事務所では、預貯金の仮払い制度を利用した相続手続きをすでに何度か行っておりますので、ご依頼者に、1件目の相続事案の残額を請求することを提案しました。

他の相続人の方々からも、預貯金の仮払い制度で請求した預貯金の残額の請求について同意をいただきましたので、もう一度1件目の相続手続きのための遺産分割証明書を作成し、相続人様に郵送し、全員からご返送いただきました。

印鑑登録証明書は、2件目の相続で利用したものを再利用し、無事に1件目の相続事案の預貯金の残額の相続手続きに成功しました

まとめ

今回は、偶然にも2件目の相続が発生することによって、2年前の1件目の相続事案が解決するという結果となりました。

これからの時代、二人に一人位の割合で、独身でかつ子供がいない方の相続が出てくると予想されます。

結果論ですが、今回のような独身でかつ子供のいない方の相続の場合、一番良いのは、生前に公正証書遺言を作成しておくことです

公正証書遺言を作成していれば、相続人全員の関与がなくても、遺言執行者によって相続財産を処理することができます

相続では、今回の2つの相続事案のように、複雑に絡み合った状況を専門家が解いていきながら進める必要があります。

断片的な知識や経験では対処しきれないケースが頻繁にありますので、特に、兄弟姉妹相続事案については、相続の専門家に最初から依頼するのがよろしいのかなと思います

たまき行政書士事務所では、年間でかなり多くの兄弟姉妹相続事案の解決を行っております

兄弟姉妹相続事案でお困りの際は、お気軽にお電話メールラインにてお問い合わせください。

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