相続人の中に遺産分割協議書を返送できない方がいた兄弟姉妹相続のケース
(相談者:苫小牧市女性)

相続の解決事例

事案

独身で子どもがいない方(自身の両親は先に死亡)が亡くなり、相続人は、亡くなった方の兄弟、および(被相続人より先に死亡していた兄弟姉妹がいたため)代襲相続人として、甥や姪が含まれる、いわゆる“兄弟姉妹相続”案件でした。

預金は1銀行のみで、500万円を超える残高がありました。

ご相談者様は、地元の司法書士事務所に相談したところ、解決が難しいと断られ、どこに相談して良いかもわからず、数年間放置せざるを得ない状況でした。

その後、事案を解決できそうな事務所をインターネット上で検索したところ、たまき行政書士事務所を見つけていただき、お問い合わせいただいた上で、ご相談者様とお会いすることとなりました。

今回の事案の問題点

相続人の確定作業については、一般の方では収集できないレベルの難しい戸籍収集(必要戸籍40通以上)でしたが、たまき行政書士事務所では、このような難しい収集を常に行っておりますので、特に大きな問題点にはなりませんでした。

ただ、兄弟姉妹相続の中でも、片方の親のみ共通する兄弟がいて、さらに代襲が発生しているので、他の相続人と全く面識のない相続人様(亡くなった方の甥や姪)が多数出てきました

このように他の相続人と全く面識のない方は、自分が亡くなった方の相続人であるということを口頭で説明されても、何の話だか理解することが難しいため、口頭での説明よりも、まずは、文章で伝える方が良い場合があります

そのため、戸籍および戸籍の附票から判明した住所にお手紙を出して、状況を伝えました。

ところが、諸事情により、相続人(亡くなった方の兄弟姉妹、甥や姪)の中に書類を返送してくれない、受取を拒否するという方が出てきました。

解決に至るまでの手段

1段階目の解決手段|法定相続割合で作成した遺産分割協議書をご案内文と一緒に送付

いわゆる“兄弟姉妹相続事案”で代襲相続が生じている場合、相続人が10人以上になることがよくあります。そして、その10人以上いる法定相続人の方々が一堂に集まり遺産分割協議をすることは、現実的に不可能であります。

このように実質的に話し合いができない場合、たまき行政書士事務所では、ご依頼者の方との打ち合わせにより、諸費用を除いた法定相続割合で分割方法を決定し、遺産分割協議書、法定相続割合表を作成し、各相続人に一斉に送付することがあります。

今回の相続でも、法定相続割合で作成した遺産分割協議書を送付することで、解決の可能性が十分ある事案でしたが、身体的、心情的な理由から書類を返送してくれない方が複数人出る結果となりました

2段階目の解決手段|民法で新設された預貯金の仮払い制度を利用

遺産分割協議書および印鑑登録証明書等の書類が返送されない事案になると、合意による遺産分割が不可能となりますので、理論上は、遺産分割調停等の家庭裁判所の手続きとなりますが、今回のような相続人同士が疎遠の事案では、遺産分割調停に皆が参加することは、現実的には困難な状況であります。

そこで、たまき行政書士事務所は、ご相談者様に各種制度のメリット・デメリットを十分に説明して、打ち合わせをした結果、各相続人様が法定相続分の3分の1の額を自身で請求できる、“預貯金の仮払い制度”を利用することとなりました

この預貯金の仮払いの制度は、相続人全員の協力は必要なく、相続人様自身が固有の権利として請求できる制度ですので、相続人個々人の請求で、相続による一部解約金を取得できます

今回は、預貯金の仮払い制度の利用により、ご依頼主の相続人様は、自身の仮払い分(自身の法定相続割合×1/3)のお金を取得することができました。

まとめ・感想

行政書士による相続の解説。北海道全域対応の無料訪問相談も行っております。

民法の預貯金の仮払い制度は、令和に入ってからできた新しい制度で、比較的相続に詳しいとされる専門家でも、おそらくほとんどの方が、預貯金の仮払い制度の申請の代理行為はしたことがないという状況です。

預貯金の仮払い制度の申請書の記入代行、解約金の請求行為は、行政書士の業務範囲ですので、たまき行政書士事務所では、正式に委任状をいただき業務を行いました。

たまき行政書士事務所は、相続専門の事務所ですので、預貯金の仮払い制度の利用も過去に何度か行っておりました。

スムーズに預貯金の仮払い制度を提案し、申請から1週間ほどで、無事にご依頼主の相続人様の口座に振り込むことができました

比較的解決が困難な案件であり、時間は1年近くかかりましたが、ご依頼主の方には非常に満足していただき喜んでいただけたので、当事務所としても本当に良かったと思います。

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