亡くなった方がエンディングノートを残していたケース
(相談者:70代女性)
相続の解決事例
相談内容
亡くなったご主人がエンディングノートを書き留めていて、その妻からご相談を受けました。
今回の相続人は、亡くなった方の妻、長男、前妻の子の3人でした。
エンディングノートとは、遺言ではないのですが、自分が亡くなったときにはこうしてほしいということや、遺族が遺産整理に困らないように預金口座など財産状況を、亡くなる前に書き留めておくものをいいます。
エンディングノートには、“私が死亡した場合には全財産をすべて妻の〇〇に相続させる。遺言執行者は、妻の〇〇とする。”という趣旨の手紙がありました。
相談者であるお客様(妻)は、「このエンディングノートは何か役に立つことがあるのか」と相談されました。
問題点と解決方法
問題点は、
- エンディングノートが自筆証書遺言として利用できるか
- 前妻との間の子が遺留分を行使する可能性がないか
ということだと私は考えました。
そこで、エンディングノートの中の手紙を見ますと、封はされていなかったものの自筆証書遺言としての体裁がしっかりなされていました。
- 全文が自署であること
- 日付の記載があること
- 署名押印がなされていること
- 書いてある内容が明確で財産が特定できること
- 遺言執行者の記載があること
これらがそろっていたので、手続き上もスムーズに進むだろうという予測が立ちました。
結果として、家庭裁判所の検認も通り、自筆証書遺言として利用できるようになりました。
また、エンディングノートを書いた状況を聞くと、妻と長男には事前にこのような遺言を書くことを告げていたので問題なかったのですが、前妻の子にはこのことを伝えていないということがわかりました。
遺言書を使って相続手続きを執行する際の問題点は、遺留分を行使される可能性があるということです。
遺留分とは、簡単に表現すると、遺言でも侵害できない相続人の最低限の持ち分割合のことをいいます。今回は、長男は事前に聞いていたので遺留分の行使をすることはないですが、前妻の子は、遺留分(8分の1の割合)を行使する可能性があります。
そこで、前妻の子と話をしてもらったところ、遺留分の行使の意思はないことの確認がとれましたので、遺言書で相続手続きをすることにし、滞りなく相続手続きがすべて完了しました。
感想
遺言があったからといって、完全にその通りになるとは限りません。今回は、前妻の子が遺留分を行使しないことが確実でしたが、多くの場合、遺留分を行使される可能性があります。
そこで、少しでも遺留分を行使される可能性があるならば、場合によっては遺言を利用せず、相続人間で話し合い、遺産分割協議書の作成をして、前妻の子とも円満に解決するという手段も探る必要があると思います。
亡くなった方の意思を尊重すべきことは当然ですが、遺産分割協議書は実務上、遺言よりも効力がありますので、遺言があったとしても、遺産分割協議書を作成することは可能です。
今回は、エンディングノートに残されていた遺言と、遺産分割協議書方式のどちらで相続手続きを行う方がよいか、メリット・デメリットを十分に相談者に説明し、どちらかを選択してもらいました。
亡くなった方の意思も尊重でき、前妻の子とも争いが生じなかったのでとても良かったと感じております。
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