亡き夫の証券会社の口座にある株式の相続手続きに証券会社が応じてくれなかったケース
(相談者:札幌市西区女性)
相続の解決事例
事案
夫婦で入院中にご主人(以下、「亡き夫」とします。)が死亡し、その配偶者様(以下、「入院中の妻」とします)からご相談がありました。
当該夫婦に子供はおらず、両親は死亡しているため、将来、いわゆる“兄弟姉妹相続事案”となることがわかっていましたので、亡き夫は事前に「自分が死亡した時は全部妻に相続させる、遺言執行者も妻に指定する」という内容の公正証書遺言を作成していました。
今回、入院中の妻のご親族から、「入院中の妻の体調が悪く、コロナ禍で面会を月1回程度しかできないのでどうしたらよいか」とご相談を受けました。
入院中の妻のご親族が、入院中の妻に代わって、銀行の相続手続きなどはある程度完了できたのですが、亡き夫の証券会社の口座にある株式の相続手続きは、証券会社がどうしても応じてくれなくて困っているとのことでした。
解決までの手順
証券会社に株式がある場合の簡単な流れの説明
証券会社の相続(専門用語で“移管”と呼びます。)手続きの手順を簡単に説明すると、まず、株式等を相続する方は、被相続人が契約していた証券会社と同じ証券会社に、相続人個人の証券口座を作成します。
その後、銀行等の相続手続きと同じように、戸籍や印鑑登録証明書を証券会社へ提出し手続きをしていきます。
そして、被相続人が証券会社との契約を比例配分方式にしている場合か、そうでない場合かによって、配当金の相続手続きの方法が変わります。
比例配分方式を採用している場合には、証券会社の口座内で配当金の手続きも完了しますので、比較的簡単です。
他方、比例配分方式を採用していない場合には、手続きが大変難しくなります。株式銘柄ごとに株主名簿管理人(主にみずほ信託銀行等の信託銀行や信託会社)が設定されていますので、株主名簿管理人に未受領となっている配当がないか確認し、各信託銀行で銀行の預金の相続のように手続きをします。
参考記事
本件の特徴
今回、亡き夫は、比例配分方式で証券会社に株式を保有していたのですが、入院中の妻が、証券会社に口座を作ることが難しい状況でした。
ただ、行政書士が病院内で入院中の妻と面会すると、体は不自由ではあるが判断能力には問題がないことがわかりました。
そこで、入院中の妻の月1回の面会日に合わせて、行政書士が親族の方と一緒に病院を訪問し、委任状に署名押印をいただき、印鑑登録カードを預かり、印鑑登録証明書を取得し、亡き夫の証券の相続を全面的にお引き受けいたしました。
今回は、入院中の妻の体の負担や精神的負担を軽減するため、遺言執行者である入院中の妻の代わりに、行政書士が証券会社に売却用口座を作成し、その後、売却用口座に株式を移管し、即日売却しました。
売却し現金化したものは、2日後、行政書士の業務用の銀行口座へ一度入り、即日、入院中の妻の口座へ振り込こんで、相続手続きが完了しました。
戸籍収集、財産調査、売却用口座の開設、移管手続きの完了まで、およそ4か月でした。
売却用口座とは
証券会社に作成する売却用口座とは、便宜上、相続人ではない方(例えば、遺言執行者、遺産整理人となる弁護士や行政書士、司法書士など)名義で一時的に作成し、移管が完了したらすぐに売却をしなければならない口座のことです。
基本的には、相続人の口座を作成しますが、相続人の方がご高齢の場合や入院中の場合、もしくは証券を換価し現金で分配するときなどには、相続人ではない方が売却用口座を作成する方が良い場合もあります。
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