相続する遺産の割合について相続人の間で考え方が分かれたケース
(相談者:60代男性)
相続の解決事例
相談内容
相続相談でご依頼があるケースには、最初は揉めていなかったが、遺産分けの話し合いの段階で揉めてしまったり、揉めるまではいかなくても、考え方が分かれたといったケースがあります。
特に、不動産の価値や証券の価値は、正確な額というものがないので、評価をどうするかによって、多く感じたり少なく感じたりします。
今回は、不動産の値段はどの基準で考えるべきか、自宅の評価はどう考えるべきかを相談された事例でした。
相続人は、亡くなった方(夫)と同居していた長男と、別のところで家庭を持っていた二男の構成でした。兄弟平等に分けたいという気持ちは一致していました。
問題点と解決方法
土地の価値は、実勢価格、路線価、固定資産評価額など主に3つの基準で決まります。
- 実勢価格は、実際に売却したらどのくらいの価値かという、売買相場のようなものです。
- 路線価は、国税庁が発表している相続税の基準となる土地の評価額です。
- 固定資産評価額は、自治体が実地調査などをして算定した、固定資産税の評価の基準とする金額です。
一般に、実勢価格>路線価>固定資産評価額の順に高いというケースが多いです。
住んでいる自宅がある土地は、すぐに売るということはないため、実勢価格で評価するのは妥当ではないですし、路線価はあくまで相続税の基準となる金額で、複雑な計算式で割り出されるため、明確に出ないこともあります。
他方、固定資産税評価額は、自治体から固定資産評価証明書というものが発行されるので、数字が明確です。
自宅を取得する方からすれば、ある意味お金になることはない単なる住処を取得したと考えますし、自宅を取得しない方からすれば、将来売ることができる、財産的価値があるものを取得するのと同じだと考えます。
となると、自宅を取得する方からすれば、これからも売るつもりはないし、土地の価値が下がっていく可能性もあるから、それほど高い基準で評価しないでほしいと考えますし、自宅を取得しない方からすれば、自宅を売った場合と同様の金銭を代わりに欲しいと考えます。
つまり、自宅を取得する方は、低い金額が出る固定資産評価額で評価してほしいと思い、自宅を取得しない方は、高い金額が出る実勢価格で評価してもらいたいと思うのです。
そこで、今回は、自宅を金銭的に明確に評価することは、基準が多くあり難しいことを理解していただき、中間位の評価額が出る路線価の基準を用いる解決方法をとりました。
両者が合意した路線価に近い金額で自宅を評価し、結果として争うことなく遺産分割ができました。
感想
立場が違えば主張することも異なることは当然です。仲裁はできないですが、いろいろな事例を提案し、これからも紛争が起きることなく、家族の関係が良い状態で過ごせるようにすることが、専門家が相続に関与する意義だと思っております。
これからも、時間がかかっても相続人様全員が納得できるように、遺産分割のお役に立ちたいと思います。
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