10年くらい前に書いた遺言はいまでも有効ですか?
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はい、10年位前に書いた遺言でも、新しい遺言で上書きがされていない限り有効です。
また、新しい遺言があったとしても、その新しい遺言に記載されていない内容については、前に書いた遺言の内容が有効となります。
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遺言は効力に期限なし
自筆証書遺言でも公正証書遺言でも遺言には、新しい遺言を作成しなければ、有効期限がありません。債権の消滅時効の10年のように時効のような制度もありません。
ただし、遺言を作成するときの財産状況と家族関係(相続人の関係性)は、10年もすればかなり状況が変わってくることが考えられます。
相続人の関係性が変化したり、新たな不動産を購入したり、自宅を一度壊し、同じ土地の上に二世帯住宅が建っているなどという事情の変化があったときには、しっかりと、現在の財産状況と相続人の状況を把握して、遺言を書き直す方が良いかもしれません。
遺言を書き直す際には、公正証書遺言がお勧めです。
公正証書遺言であれば、無効の主張をされるリスクが限りなく少なく、相続が発生した時に手続きも非常にスムーズにいきます。
遺言の内容に書かれていないものは、遺産分割協議が必要
例えば、10年前遺言を作成した時には、自宅の不動産がなかったが、現在は、自宅があるというときには、10年前作成した遺言に不動産の行方の記載がない場合があります。
この場合、自宅となっている不動産は、遺言を利用しての相続手続き(相続登記)をすることができないので、遺産分割協議が必要となります。
遺言に記載内容の漏れがあり、遺産分割協議が必要となる財産がある場合には、遺言によって利益を受けることができなかった相続人の方にも、遺産分割協議に参加していただく必要があります。
このような状況となると、一般的に、揉めたり長期化したりと、解決が困難となる可能性が高くなります。
10年以上前に遺言を作成していて、その遺言に不備がある、あるいは、公正証書遺言でなく、自筆証書遺言であったという場合には、できれば、公正証書遺言を改めて作り直す方がよいでしょう。
自筆証書遺言は常に無効を主張されるリスクがあります。
中途半端になっている遺言はかえって紛争の種となりますので、遺言を作成する場合には、できる限り、内容と形式が完全な遺言(できれば公正証書遺言)を作成することが大切といえます。
10年以上前に書いた遺言を利用した手続きの流れ
遺言は、遺言を書いた人(「遺言者」といいます)が死亡した時から手続きに利用できる状態となります。
公正証書遺言の場合には、死亡した後すぐに手続きで利用できます。
これに対し、自筆証書遺言の場合には、そのままでは手続きに利用できず、検認という手続きが必要となります。
ただし、最近の民法改正により、法務局に自筆証書遺言を保管する制度を利用していた方に関しては、検認が不要となります。(記事執筆時の令和3年6月から)10年前に書いた自筆証書遺言であると、法務局の自筆証書遺言保管制度がなかったため、家庭裁判所の検認が必要となります。
自筆証書遺言を手続きで利用するときの流れ
自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認という手続きを経て初めて、相続手続に利用することが可能となります。
検認という手続きは、遺言を残した方の住所地を管轄する家庭裁判所へ手続きに出して検認期日まで約1か月かかります。
検認がされた後は、内容で遺言執行者の指定がある場合には、その後の手続の一切を遺言執行者が行います。
遺言執行者が法定相続人に代わり戸籍等を収集します。遺言執行者の記載がない場合には、法定相続人が戸籍等を収集します。
相続財産調査も遺言執行者が行います。遺言執行者の指定がない場合には、銀行等金融機関の調査時点に関しては法定相続人が行うことができます。
財産調査が終わった後は、銀行等金融機関の手続や、不動産相続手続きを遺言執行者が行います。
遺言執行者の指定がなければ、多くの場合、銀行等金融機関から遺言執行者を協議して決めていただくよう要求されます。
遺言執行者が法定相続人の合意で選任されると、遺言執行者として選任された法定相続人等が相続手続きを行います。
参考記事
公正証書遺言を手続きで利用するときの流れ
公正証書遺言の場合には、制度上、自筆証書遺言の場合に行う検認手続きが不要となります。
公正証書遺言の正本あるいは謄本を用意します。
遺言執行者が法定相続人に代わり戸籍等を収集します。
相続財産調査も遺言執行者が行います。
※ 自筆証書遺言では、遺言執行者の指定がない遺言もよく存在しますが、公正証書遺言の場合、士業の方や公証人のアドバイスにより遺言執行者の記載は必ずありますので、基本的に、遺言執行者がすべての調査を行います。
財産調査が終わった後は、銀行等金融機関の手続や、不動産相続手続き(相続登記)を遺言執行者が行います。
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今回は、10年くらい前の遺言でも有効かどうかを中心に解説しましたが、実際の遺言や相続のご相談では、もっと細かな点で、個別に専門家に相談したいということがあると思います。
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