未成年者の相続
相続の基礎知識未成年者の相続とは、その名の通り、未成年者が相続人となり被相続人(亡くなった方)の遺産を相続することです。
未成年者が相続する場合、実務では、大きな二つの問題点があります。それは、
という点です。
未成年者の相続のポイント
① 未成年者は自分の意思で自由に遺産分割協議をすることができない
未成年者は、原則として、単独で法律行為をすることができません(親の同意があれば、法律行為をすることができます)。
これには、いろいろな理由がありますが、未成年者を保護する必要性があるためというのが法律の趣旨です。
例えば、16歳の未成年者が高額な物を買う売買契約(法律行為の一つ)をしたら、支払いができずに多額の負債を背負ってしまう可能性があります。社会経験が浅い未成年者は、一般的に、深く考えずに不利益となる契約をしてしまう可能性が高いと考えられます。
そのため、民法という法律で、未成年者は、原則として、法定代理人の同意なき契約はできないこととされています。
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
民法
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
話を未成年者の相続に戻しますと、遺産分割協議は権利義務が発生する法律行為ですので、未成年は、自分自身で遺産分割協議に参加し、自分の相続する分を自由に主張することができません。
② 特別代理人となっていただける方を探し、未成年者に代わって署名押印してもらう必要がある
未成年者の法律行為については、原則として、未成年者の法定代理人である親が行います。しかし、遺産分割協議においては、一部例外はありますが、多くの場合、未成年者とその親が共同相続人となります。
例えば、未成年者の父が死亡した場合、未成年者と母が共同相続人となります。
この場合の未成年者と母の関係は、母の取り分が多くなれば、未成年者の取り分が少なくなるという利益が相反する関係だといえます。
この場合、母は未成年者のため正しい判断ができない可能性があります。
そのため、未成年者の保護を考えて、遺産分割協議では家庭の事情を個別に判断するのではなく、相続に利害関係のない、特別代理人という地位の方を必ず選任することとされています。
そして、選任された特別代理人が、遺産分割協議書に署名押印をすることとなります。
特別代理人は、弁護士など法律に詳しい人に限定されているわけではなく、一般の方でも就任できます。
例えば、未成年者の祖父母や、母の友人知人などが就任することが多いです。
家庭裁判所のホームページで手順が丁寧に案内されていますので、よろしければご参照ください。
アドバンス
家庭裁判所に特別代理人の選任申立てをする際には、必ず遺産分割協議案(あとでどのように分けることを予定しているかを記載した書面)を一緒に提出します。
そして、相続の実務では、誰を特別代理人にするかということよりも、遺産分割協議案の内容の方が重要です。
家庭裁判所に遺産分割協議案を提出する際、いわゆる“法定相続分”(例えば、配偶者2分の1、子2分の1というもの)の取り分を、未成年者が取得する予定があるかということが重要となります。
未成年者の取り分が法定相続分を下回ることが、絶対に認められないということではないです。
しかし、未成年者の保護の観点から考えると、未成年者が本来取得できる法定相続分を大きく下回る取り分の遺産分割協議案であると、特別代理人選任申立てが認められない可能性が高まりますので、遺産分割協議案は慎重に作る必要があります。
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