同居している長女様夫婦に不動産と預貯金の多くを相続させる遺言の作成を検討したいと相談を受けたケース
（相談者：札幌市北区大正生まれ男性）
遺言の解決事例
事案
同居している長女様夫婦に不動産と預貯金の多くを相続させる遺言の作成を検討したいとのご相談でした。
ご相談者は、大正生まれで９０歳を超えており、耳と、手が不自由でしたが、頭脳明晰で遺言作成する能力、遺言能力にはまったく問題がありませんでした。
ご相談の流れ
まず、遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言があること、両者のメリット・デメリットを説明した上で、公正証書遺言を作成するということになりました。
次に、遺言内容の検討に際し、ご依頼者（遺言実務では、“遺言者”ともいいます。）ご本人のお気持ちが重要ですので、遺言を作りたいと思った経緯、具体的にどう書きたいか内容が決まっているか確認していったところ、最後まで自分の面倒を見てくれていた、同居の長女様夫婦に多く残したいということでした。
そこで、具体的な家族構成（推定相続人の確認）、家族の関係性を伺っていきました。
遺言を書こうとする方は、分け方を細かいところまで考えていることは意外と少ないため、お考えを整理するうえでも行政書士が質問や提案をして、ご依頼者の考えやお気持ちをまとめていくことがよくあります。
今回も、遺言を書くご依頼者のお気持ちを最優先に考えをまとめていきました。２時間くらいで考えがまとまりましたので、後日、遺言原案を作成して、再訪問する旨を伝え、１日目のご相談は終わりました。
その後、公正証書遺言の作成のために提出が必要なすべての資料を、１週間ほどで集め、公正証書遺言の原案を作成し、２回目の訪問をしました。
２回目の訪問では、お気持ちが変わりないかを改めて確認し、死亡した後の相続手続きの流れ、遺留分の説明などを丁寧に行い、作成当日の公証役場での公証人との受け答えの練習などをして終わりました。
最後に、公証役場にて、公証人と面会遺言の読み上げを行い正式な公正証書遺言を完成することができました。
初回相談から公正証書遺言完成までの期間
遺言を残したいという場合、遺言者がご高齢の方も多く、コロナの影響もあり、いつ役場が閉鎖されるかわからない面があるため、普段もそうですが、最短の時間で初回相談から公正証書遺言完成までを行う必要があります。
今回、たまき行政書士事務所では、初回ご相談から、約２週間で完成いたしました。
なお、今回、ご依頼者は、病気により自身の名前など、字が書けない状況でしたので、公証人の代筆方式で、行うように公証役場に依頼しました。
感想
遺言を作成する方は、必ずしも相続人同士が争う可能性があるからという理由で遺言を書こうと思うわけではありません。
財産に関することだけでなく、同居の親族への感謝の気持ちを込めて書くということもあります。感謝の気持ちは、遺言本文の財産の相続先の指定によっても伝わりますが、公正証書遺言には、付言（ふげん）というお気持ちを伝えるパートがあります。
付言は、一から遺言者が文章を作るのではなく、行政書士がお話を聞いたうえで、代わりに作文をすることもあります。
今回は、遺言を将来、確認することになる相続人の方々に対し、遺言者のお気持ちが伝わる付言の文章を、病気により字を書くことができない遺言者に代わって行政書士が書きました。
今回のご依頼者もとても安心していただき、喜んでいただけて私としてもうれしい限りでした。
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